NOVEMBER RAIN

LAST・NOVEMBER 6

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ザアアアアアアアア・・・・・・・ザアアアアアアアアアア・・・・・・ザアア・・・・




雨の音が鳴り止まない


激しい雨の音が











幼なじみのフラウ・ボウから電話があって、そこで初めて父さんが倒れたことを知った。



自分は父と二人暮らしで、母は小さい頃に俺と親父を捨てて出て行った。
親子の仲は、別に悪くもなければ良くもない
小さい時は淋しい思いもした事があったけど、父は仕事に熱中していてあまり家にも帰らず干渉もしない
自分も趣味の機械いじりで部屋に引き籠もることが多かったし、それなりの自由を楽しんでいた。


俺と父さんは、家族で、親子で、一緒の家に暮らしているのに お互いをあまり知らなかった。
・・・いや、知ろうとしなかったのだ。


それでもうまくやっていると思ったし、会話が無くても平気だった。
どちらかが勝手に家に帰り、何かを別々に行い、好きな時にレトルト食品を食べ、すきかってにして生きてきた。
それがずっと当たり前だったし、それでいいと思っていた。


病院で倒れた父さんを見るまでは・・・。


病院に着いた時には、もう父さんの意識は無かった。
医者は後天的な奇病だとか何だとか言って、親父はもう助からないだろうと言った。
親父の手はまだ温かいけど、妙に薄くて・・・こんなものだっけ? と思った。



その時、病院のベットで眠る父さんが  ――――とても孤独に見えた。

親父には、いったい何があるんだろう? 疑問が湧いたのだ



自分を見ても、たいして悲しまない薄情な息子?
別れてから一度の連絡も寄こさない、自分達を捨てた母親?
仕事の友人? ・・馬鹿らしい!! 一部の人間がアンタの名前をチラリと見る程度じゃないか!!


親父を見て、泣いてくれる人っているんだろうか?
本当の涙を流してくれる人って?
実の息子でさえ、こんなに繋がりが希薄なのに
彼を愛して泣いてくれる人なんて、一人もいやしないじゃ無いか。



彼は 孤独だ。 誰にも愛されず ひとりぽっちで、  死んでいくのだ。



親父?こんな死に方 望んでた? こんな淋しく死んでいっていいのか?
アンタを、愛してくれた人なんて、誰もいないままで?


もっと、親父と話をしなきゃいけなかったんだ!!普通の親子みたいに、家族みたいに。
だけど俺たち、似たもの同士で、めんどくさがり屋で、お互いの歩み寄りをしなかったんだ。
もっと顔を合わせてぶつかって、一緒に飯食って、そんな事しなくちゃならなかったんだ。
そうすれば俺だけでも、涙を流してやれたのに!!悲しむ事が出来たのに!!


激しい後悔の後に、ぞわりとした不安が襲った。
・・・・じゃあ、自分は? と、思った。


親父にそっくりな自分はどうなんだろう?
父が亡くなれば、俺は孤立無援だ
家庭を知らない自分が、果たして家族なんて作れるんだろうか?


・・・・じゃあ、俺も父さんみたいに死ぬの?


嫌だった。 恐かった。 こんな死に方、ほんと勘弁して欲しい思った。
でも、どうすればいい? いまさら、何をすればいいんだ!?



ベットの父さんを見て、ある事に気が付いた。

何だよ、親父    まだ生きてるじゃないか!!



まだやり直しが利くかも知れない。
なんとかなるかも知れない。

だって・・・そうじゃなきゃ 俺も親父も救われない。 救いようがない!


俺は医者と話すために急いで病室を出た。







ザアアアアアアアアアア・・・・・・・ ザアアアアア・・・・・・・・・・







夜中から降り出した雨の音が シャアの耳を打った



照明を抑えたベットルームでシャアはずっとアムロを眺めていた。
部屋の深緑のカーテンをぴっちりと閉めているのだが、
静かな部屋には雨音が忍び込んできてシャアの気分を余計に憂鬱にさせた。



あの後・・・
バスルームで、彼を犯した後。
シャアは泣き腫らした顔で意識を失ったアムロをベットまで引きずり
手錠で繋ぐとおざなりにローブをかけた。


疲れていた。ボロボロだった。 心も、体も・・・・。
また明日から彼の罵倒や嘲笑を受けるかと思うと心が重く沈んだし、
自分はとても意味のない、無駄な事をしているんじゃ無いかと何度も思った。


(アムロの言う通り、彼を忘れてしまっては・・・?)


そんな思いが何度も頭に浮かんだ。
でもシャアはそんな事は出来ないと、その度に強く否定する。
きっと彼をこのまま手放せば、自分は心の中の大事な物を失うと感じていたから。


(だが、では どうすれば良い? どうしたら彼は、生きてくれる?)


煮詰まった心のまま、シャアはベットの横に置いたソファで項垂れながら眠りについた。

雨の音がとても鬱陶しかった。









アムロの思い出です。物語を読んでいくと、"あれ?アムロってこんな親思い?”などと思われた方もいたのでは?
それを一応理由づけて進めて行こうと思ってます。ハイ。
ちゅ〜か、自分ほんっとPCがにぶちんでして、この壁紙にするのに3時間以上奮闘しました。
そ、ソースのバカ野郎!!HTML言語なんてだいっきらいだぁぁ〜〜〜!!
何はともあれ間が空いて申し訳ありませんでした。・・・気長に待ってくれていた貴方、ありがとう!



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