星を愛する人たち 2
「ふぅ、」
俺は大きく深呼吸をしながら軍事ブロックへと降りていく。
・・・・ あああ、き、緊張してきた・・・・。
すーはすーは息を吸いながら軽く体を動かして緊張をほぐそうとしたが・・・・ダメだ!
興奮の為に手のひらがびっしょりとしてきた。
「だって、しょうがないじゃないか!!あの、アムロ・レイにあえるんだぞ!!」
声に出していたのに気がついて、慌てて周りを見れば幸い一人で助かった。
それからこれから会える憧れの人たちを考える。
アムロ・レイ (29) 階級・大尉
14年前の悪名高き ”1年戦争”をわずか15歳で終結に導いたという伝説で幻の英雄。
ファースト・ニュータイプと言われ、その存在は連邦にひた隠しに隠されていた。
彼の戦記物(すべてアングラ出版物だが)はもう、穴が空くほど読み尽くしたのだ!
きっと、熱い正義感の、ちょっと荒っぽいナイス・ガイ!に違いない!!
なんせ、白い悪魔だものな・・・。
ブライト・ノア艦長 (33) 階級・大佐
同じく1年戦争の英雄、なんと若干19歳で戦艦を任されるという大天才。
きっと、クールで英知に富んだ好人物に違いない。
噂には、容姿で上司をたらし込みその地位に就いたというのもある。(それもアングラ出版物によるものだが。)
さぞかし、かっこいい男なんだろうな・・・
クワトロ・バジーナ (27) 階級・大尉
ガンダムファイトの歴代チャンピオンだったシャア・アズナブルでは無いかと言う噂がある。(ネットでの噂だが・・・)
シャアは赤く塗装したザク(ツノまでついてるらしい)で通常の3倍のスピードで動き、相手を翻弄したという。(因みにガンダムファイトとはMSの格闘技である。)
誰も彼に勝てないまま引退をした伝説の男だ、きっと男臭い型破りな男性なのだろう。(何故そう思うのかというと、MS格闘技の始祖と言われる人がそういう感じの人だった。)
あー、俺、何て幸せなんだ。
なんだかちょっと感激で涙出てきたかも・・・・。
ふぉーーーーーん
エレベーターが到着を告げて現実に帰ってきた俺は、慎重に備え付けの地図を見ながら廊下を進んだ。
・・・・おかしい。なんかこの辺随分薄汚くないか??
でも、軍事ブロックなんてこんな物なのかもしれない。
そう気を取り直して奥へ奥へと進んだ。
「よし、ココに間違いない!!」
何だか、がらくたが沢山置いてあるのが気になるがここに間違いないのだ。
大きく息を吸って一気に中に飛び込んだ。
・・・ああ、ここから始まる俺の軍隊ライフ!(軍属じゃないが)
大丈夫!体育会系は慣れたもんさ!!
「初めまして!本日よりA・Eから派遣されてきましたカミーユ・ビダンと・・申し・・ます・・・・???」
俺は、また・・・間違えたのだろうか?
目に入ってきた光景をボンヤリと眺めた。
まず、二人の女が何かを取り合いながらいがみ合いをしている。
しもぶくれた顔の男の子が椅子にぐるぐるまきに縛られている?
疲れた顔のおっさんが電動マッサージに座って胃薬を口に入れている・・・
船外作業カプセルでぼんやりタバコをふかすパツキン男
パソコンをただひたすら打ち続ける女
飛び回る緑の球体
むさい男二人が半裸で並び何かを見ながら不気味な踊りを踊る
・・・・・・・・・いったいここは何処なんだ??????
うろたえる俺にタンクトップに縞パンという訳の分からない格好の男が近寄って「始めまして」と言ってきた。
(俺はブリーフ派だ!!・・・・その格好、許せないなっ!!!!)
そんな言葉と飛び出る拳を必死に押さえ、バックスッテップで扉の前へと逆戻りする
・・・・・おかしい。やっぱり「宇宙空間・統合中立軍・第13特別艦隊」と書いてある。
俺はもう一度中に入りおそるおそる部屋を訪ねてみた・・・。
「あのぅ、ここって・・・」
「ああ、この格好はね・・・」
さっきの縞パン男がいいわけがましくそんな事を口にした、・・その時!
「ひゃっほォオォォォォッ!!あと一つーーー!!」
半裸の男どもが狂喜乱舞して踊り狂った。
その言葉に皆が一斉に注目したかと思うと、緑の球体が『アトヒトツ アトヒトツ』と部屋の中を飛び回る。
そして踊っていた男の頭に見事にクリーンヒットした。
「ああ、ハロ!!!」
何故か半裸の男は鼻の下にペンを挟んでいて、それが衝撃で飛んで、タバコをふかす男のカプセルのファンに挟まった。
「何をするのだ!!」
「そこぉっ!!煙ぃ!!」
パツキン男が怒って窓を開けると、マッサージ椅子に座ったくたびれた男がそう叫んだ
煙に反応したスプリンクラーが水を煙に向かって噴射する
「ちいぃっ」
パツキンはすんでの所で窓を閉めたが、そのせいで周りに水が飛び散った
「ぎゃあぁ!つめたいいいっ」
半裸男のもう一人が飛び上がってうるさい女達の所へ突っ込んだ。
その衝撃に、縛られた男の子の椅子ががらがらころがってパソコン女の胸に飛び込む
「「「なにすんのよっっっっ!」」」
三人の女の声がこだまし、椅子の子はひっくり返って床に倒され
二人の女にけられた半裸男が自分の方へ飛んできた。
耳に聞き慣れたパソコンのエラー音が響く。
カミーユは飛んできた男に倒されながらそいつの乳首にはられた星のシールの後ろに、女のパソコン画面の ”ERROR”という文字を見た。
「こんなんでました〜」とTVからあっけらかんとした声がその場をしめた。
******
少し場が落ち着いた後、金髪のおとこが俺に「ようこそ中立軍へ」と言ってきた。
俺はほっと胸をなで下ろす。
・・・・・さっきのことは理解が出来ないが、・・・きっと、色々タイミングが悪かったのだ。・・・・きっとそうだ・・。
よく見れば金髪の男はまともそうだ、(・・・二の腕丸出しの改造軍服をのぞけば・・)
大きいサングラスをしてはいるが、悪くない顔立ち・・・そうか!この人がブライト・ノア艦長!!・・・・確かに、いい尻の形をしている・・。
そんな下世話な想像をしていると
「大尉〜、ブライト艦長への挨拶がさきだって〜!」
と、さっき自分にのしかかっていた男が叫んだ。
・・・・・大尉?
じゃあ、この人が・・・・
俺は思わずキラキラした目で彼を眺めた。
・・・・ああ、俺は今 ”伝説”を目にしている。
やはり、英雄はちょっと変わってはいるが、・・・カッコイイ・・。
俺は彼の白い肌を見て、成る程・・白い悪魔とはよく言った物だとアムロ・レイを見た。
「では、こちらに来なさい」
大尉に連れられてマッサージ椅子の前まで来る。
そこに座る青白い顔をしたくたびれたおっさんは、胃をさすって何だかぐったりしていた。
・・・・・・片手にエマージェーシーパック(ゲロ袋)を握っている???
「ああ、君か・・・AEから来てくれた ・・うっぷ、 ・・失礼・・、EVA(船外活動員)は。 ・・・えっと、カミーユ・ビダン!・・ううっ!げっげええええぇぇ」
なんとそのおっさんはいきなりゲロゲロ吐き出した。(もちろんゲロ袋に)
それに縞パン男が金髪女に上着を着せられながら駆け寄って、
「だいじょぶ?ブライト。 はい水」
などとのたまって水のチューブを渡していた。
・・・・・え? ・・ナニ??・・今この人、ナンテイッタノ・・??
だって、ブライトって、え?マジ?ホントに?やだな、この人が??
てゆーか、何お前タメグチなんだ?大佐とか艦長とか付けるんじゃないの?
いや、それもそうだが、そうじゃなくて。・・え? 本当に??
「えほっ、すまない。・・・ブライト・ノアだ。 ・・く、こ、この隊の艦長をしている・・。階級、大佐!うっ・・・げええぇ」
彼は俺に挨拶の握手をしながら、また、吐き出した。
俺は泣き出したい気持ちで彼を見た。
・・・・・ああ。グッバイ俺の青春
心の片隅で昔ファが読んでいたアングラ出版漫画『ただれた連邦の記録〜バスク×ブライト〜』を激しく呪った。
とにかく・・・きちんと挨拶をしなければ。
「はい、今日からお世話になりますカミーユ・ビダンです。・・・あの、だいじょぶ・・ですか?」
何、いつもの事さ。と金髪の大尉がさわやかに笑って紹介を引き継いだ。
「まず、あそこにいるのがトーレスとサエグサ。艦のオペレーターをしている。」
大尉が指を指しながら教えてくれた。
あの二人はさっき裸で踊っていた奴らだ。
「あのう・・さっき彼らは何を・・・」
「あれか。実は先程、宝くじで1千ドル当たりそうだったんだが、・・まぁ、外れたのだが・・・で、あれはだな、良く当たるまじないなんだそうだ。」
大尉は言いにくそうにそう言った。
「で、通信担当のベルトーチカ・イルマとその部下のカツ・コバヤシ。メカニックのチェーン・アギ」
カミーユ君はたしか23だったね、カツ君とは同い年だ。気が合うかも知れない。
そう付け足した言葉に驚いてカツという人を見る。椅子に縛られていた奴だ・・・随分ガキっぽいな、それに反抗的でなんかムカツク顔をしている。
そう思ってカツ(もう呼び捨て)に目をやれば
「大尉!同い年だからって仲良くなれるって言う根拠は何なんです!!」
そう叫んだ。・・・・・俺の直感は正しい。
軽くスルーして女2人に目をやると、何とさっきの縞パン男がモテモテだ。
金髪がベルトーチカ、俺と同じ青い髪がチェーンらしい。
縞パンが2人の女に服を着せられながらデレデレしていた。ひどく不愉快で拳を握る
大尉も不快なのか チッと小さく舌打ちをした。
「それからあそこにいる女性がナナイ・ミゲル。君と同じでジオニック社からの出向で来てもらっている。事務担当だ。」
ナナイと呼ばれた茶髪の女はこちらを見ようともせず軽い会釈をした。
・・・・それにしてもジオニックとは・・。
俺はライバル社の女を意識しないように目を反らした。すると縞パン男が目に入る。
どうやら服は着終わったようだ。・・・彼がこっちに寄ってきた。
「さっきはあんな格好ですまなかった。ちょっとコーヒーをこぼしてしまってね、」
照れ笑いする彼に「いいえ」とお愛想笑いをしてみせた。
そのとき、彼が手にしている緑の球体に目がいった。気づいた彼がそれを差し出す。
「ハロっていうんだ。俺が作ったペットロボット・・・ハロ、あいさつは?」
『カミーユ カミーユ ・・・オンナ・・ミ・・ウッ!ノウハ・ヤバイ・・ヤバイ!』
・・・俺は世界で一番嫌いな言葉を聞いた気がして、思わず力が入った。
だが、”ハロ”は思いの他出来が良いのか危険を察知し俺の腕から飛び立った。
球体から突如現れたニョキッと長い手足がコワイ・・・・。
ハロの近くにいた面々は俺の地雷に気づいたらしく、黙って気まずそうに宙を眺めた。
場を切り替えようと、金髪がまぶしい大尉(掃き溜めに鶴とはこの事だと思う)がゴホンと咳をした。
「まあ、ここは軍と言ってもあまり堅苦しくは無い。失礼の無いぐらいの礼儀でかまわんよ。・・・ああ、挨拶が遅れてしまったな。私はクワトロ・バジーナ、階級は大尉だ。」
え?
続いて縞パンが「俺はアムロ。よろしく、カミーユ・ビダン」と言った。
・・・
え?
・・・・・・
・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・俺は、時の涙を見た。
気づいた人はいるかしら? そう!ここのアムロさんとシャアさんは年齢が違うのだ〜〜!
時代はCCA、アムロの年齢はあってるけど フフフ・・・ シャアがね。
つまり一年戦争の時、シャアは13? 一年戦争の活躍が無かった事に!!
んで、七年後のグリプス戦役の時に・・・おおっと!これ以上書くと面白くないすね。
ああそれと、MS格闘技始祖っていうのはFSの補給艦の旧ザク操ってた彼と言う事で。
ガンダムファイトとか書いてますが、管理人Gガンは知らないのです。
あくまで FS Z CCA を基本としてお楽しみ下さい(汗)
では、続きをどうぞ〜〜