星を愛する人たち
僕は星が好きだ
ばーーーって光る彗星も
シュッて消えてく流星も
みんなみんな とてもキレイで好きだ。
それを無限に包む”宇宙”という大海はもっとすき
どこまでも無限に広がっていて僕がとてもちっぽけなんだって教えてくれる。
女みたいだって馬鹿にされて腹を立てる事も
ファに八つ当たりして自己嫌悪することも
宇宙を見れば 『何て広いんだろう・・俺ってちっぽけで馬鹿みたいだ・・。』
そう思えるから・・・
***
人類は、増えすぎたその人工を宇宙に解き放ち すでに数世紀が過ぎていた。
人々は宇宙空間にコロニーと呼ばれるシリンダー状の物を浮かべてそこに生活しやがて子を産み、・・・そして死んでいった。
宇宙に住む人間をスペースノイド、地球に住む人間をアースノイドと呼ぶようになる頃人類は未曾有の大戦争を経験する。
それは、宇宙に住まう人々の独立戦争であったが、戦争は苛烈を極めわずか一年足らずの内に人類の約半分をも失うことになった。
後に一年戦争と呼ばれるこの戦争は双方痛み分けで停戦協定をし今に至る。
そして地球と宇宙の行き来が盛んになり出した頃
ある、一つの事件が起こった。
高々度旅客機アルタイル8型が、宇宙のゴミ ”スペースデブリ”によって墜落したのだ。
この事故により、スペースデブリが大きく問題視され、悲劇をくり返さないため、そしてさらなる宇宙開発の為にデブリの処理が必要になっていた
それは、こんな時代に生きる人々の物語。
「失礼します!!」
カミーユはコチコチに緊張した動きで頭をさげた。
「この度、アナハイムエレクトロニクスから第13特別艦隊に派遣されて来ましたカミーユ・ビダンですっ!!特技は空手、ホモアビスの操縦、23歳、独身ですけど彼女はいますっ!!!」
「あ、あのだな・・・・。」
「はいっ!!ふつつか者ですがガンバリますっ!!!!」
そこで初めてカミーユはこの空間の異変に気づいた。
しんと静まった後、すぐに戻る喧噪とそれに混じるクスクス笑いが聞こえ出す。
「それは嬉しいだろうがね、君、ブロックを間違えているよ。ここは管制室だ」
「え???」
「それにしてもデブリ艦隊へいくとは、・・・・・・まあ、あそこらしいと言えばあそこらしいがね。」
男はそんな事を言うとカミーユの横をすり抜けて出て行った。
それを呆然と眺めるカミーユに先程の男と話をしていた女が声を掛ける
「貴方、アナハイムから派遣されてきたの?優秀なのね。私はレコア・ロンド、よろしくね。」
カミーユはAEから持ってきた資料を片手に抱え直して挨拶と握手を交わした。
さっき言った言葉と彼女の優しさに頬がちょっと熱い。
「でも、13特別艦隊って統合中立軍のでしょう?ブロックが違うわね、一回戻らないと」
「あ、はい!大丈夫です。もう一度地図をみてきますっ!!」
その時、勢いよく頭を下げたせいでファイルに挟んでいた書類がばさばさと散らばってしまった。
カミーユは ”何やってんだよおれはっ!!”と内心いらいらしながら書類を拾う。
「フフ、面白いわねあなたって。そんなに緊張しなくてだいじょぶよ。」
カミーユは拾って貰った書類を礼をいいながら受け取り、何気ない会話を零した。
「すみません。なんか、柄にもなく緊張しちゃって、・・・だってソコって軍隊でしょう?それに、俺、長年あこがれている人たちがそこにいるんです。昨日も夜眠れなくって」
その言葉を聞くとレコアという女の人は気の毒そうな顔で俺を見た。
「そうなの、・・・・仲良くなれるといいわね。」
はい!と大きく返事をして管制室を出ようとした。
後ろから彼女が声を掛けて手を振った。
「デブリ屋さん達によろしくね。」
カミーユは言われた言葉に??と思いながらその場を離れた。
***
「カミーユさんったらオカシィー!!」
「ばかやろっジュドー、お前分かってたんならなら何で教えないんだよ!!」
「だって、カミーユさん堂々と中入っていっちゃうんだもん。止めるヒマなかったんだよ」
「だからってなぁーーーー」
「危ないカミーユ!!」
ジュドーを追っかけようと、停止バーが出てるのも構わずに通路を渡ろうとしたらファが首根っこをつかんでひぱった。
目の前を作業者が突っ切っていく
「危ないわカミーユ!!そんなんだから間違えるのよ!」
「・・・うるさいな、ファはステーションの衛生課だろ?さっきの場所じゃないか、付いてこなくていいよ。」
「んもうっ、カミーユってばそんな事ばっかり言うんだから。 ちょっとは私の心配も分かってくれてもいいじゃないの!!」
丁度通路の停止バーが引っ込んだのでファを無視して歩き出す。
頬を膨らませてまだ何か言いたげなファにジュドーが愛想をふりまいた。
「はいはい、ストーップ!痴話げんかはそのくらいにして、中央エレベーターまで一緒に楽しく行きましょうよ。せっかくの新しい職場なんだし。」
それもそうだなと俺たちは新しい話題をしながら歩き出した。
ここはL−1に位置する、第4宇宙ステーションの中だ。
ファは幼なじみで看護婦の仕事を、ジュドーはひょんな事から知り合った友人でジャンク屋を、
俺は月のAEのグラナダ工場開発局でMSの開発をしていた。
ある日、宇宙空間・統合中立軍の13艦隊へ一人出向させなきゃ行けないという話を聞いた俺は、
いてもたってもいられなずに必死で上司を説得した。
そして今に至る訳なのだが、ファは最初大反対した。
『何でそんな所へ行くのよ!私を置いていくつもり!?』と。
だが、俺の気持ちは変わらない。・・・だって、子供の頃からの憧れの人がソコにはいるのだ!!!
俺の気持ちが変わらないと知ると、ファは何とこっちに転勤をこぎ着けてきた。
どうやらこちらに友人が勤めていて、そのコネを使ったらしい。
ジュドーは、多分気まぐれで付いてきたのだと思う。
喫茶店でファの愚痴を零していたときに、話の流れでそのステーションの話をしただけだ。
その後、ジュドーから木星住還船のクルー応募に合格した旨を聞かされてしこたまビックリした。
で、人事異動の日取りは何処も一緒で、俺たち3人は仲良くここに来たという訳である。
「じゃ、カミーユさん。後で昼飯一緒に食べよ〜ね〜!」
「カミーユ、間違えないでね。ここから下に行って一番奥だから」
「ファ、しつこいぞ!・・・・じゃ、また後で。」
中央エレベーターに付くとファとジュドーと別れる
ファはさっき来た道を戻りに行きジュドーはこの先の商業ブロックに向かった。
ちなみに管制室にいた男の人は、実はシロッコだったりして。
このお話では、どちらかというと “いい人” にしようと思ってます。