故人と友人・過去と現在(2)












ある日の仕事帰り 日もとっぷり落ちた頃
細かい指示を下にいる雑兵達に伝え終え白羊宮を通り金牛宮に入ったときだった。

「お前ら、何をしているんだ?」

薄暗い灯りに落とされた私室に入って声を掛ける
ここに来たときに気が付いたのだが、主の他に黄金の小宇宙が二つあったのだ。
俺の声に振り向いた三人はアルデバラン、ムウ、アイオリア
教皇代理のシャカとその補佐当番のミロはいない。まだ上だろうか
テーブルにはカードの束、トランプか何かか。
ムウが黒い布が被せられた大きめの籠を持って二人から何かを回収していた

「おや、カノン 貴方もやりませんか?」

トランプ、と続く言葉にその籠は?と顎をしゃくって聞いてやった
アイオリアが答えてくれる。

獅子「何もないんじゃつまらんからな。いらないものを持ち寄って景品にした」
羊「貴方も参加するんなら何でも良いんでこの中に入れて下さいね?」
牛「いきなりそんな事を言われても困るだろうムウ。人が多い方が楽しいのだから良いんじゃないか?」

アルデバランの気遣いを嬉しく思いながらぶ厚いファイルをその辺に置いた

「いや…何でもいいんだな?布が被せてあるってことは取るまでのお楽しみという訳か。」

あまりコイツらを知らないから良い機会かも知れない。…ちょっと聞いてみたい事もある
そうです、お楽しみです。横を向いてますから入れちゃって下さい、と目をつむって横を向くムウに後ろを向く二人
俺はそっと手をすべらせてそれを籠に入れてやった。
ちょうど新しいのに変えようかと思っていたので良いタイミングだ。

「で、これを総取りにするのか?」

テーブルに着く。
籠を置きにいったムウ グラスや酒を用意してくれるアルデバラン
それに自分の分にはソフトドリンクを注いでいるアイオリア
…そういえばコイツ、酒はダメだとミロが言っていた。
俺の答えにカードを切り始めたムウが少し考えてこう言った

羊「それじゃ、すぐ終わってしまうのでつまらないですから…そうですねぇ」
牛「では席順でその人間の持ってきた景品を取り合うのがいいんじゃないか?」
羊「そうしましょうか。時計回りでいいですね。じゃ、最初は私の景品から。つまり私が親です」

親と子の勝負、引き分け 勝利者多数の場合は再戦で良いですよね?
カードを配るムウ その手つきは結構手慣れている
ゲームは当たり前のようにブラックジャックだった
さて、俄かギャンブラー達の腕前はいかがなものか?

「なあ、お前らはいつもこんな風に遊んでるのか?」

カードを手に取りながらも聞いてみると奴らが不思議そうに顔を見合わせた。
口火を切ったのはアイオリアだ

獅子「いや。こういう遊びをし出したのは最近だよな、俺は下の奴らと良く遊んでいたが…」
羊「ですね。私はジャミールにずっと籠もって聖域には帰って来てませんでしたし。」
牛「昔ミロとリアとはしたな。…憶えているか?ミロがあまりにも強いんでリアが投げてそれからしなくなったんだよ」
獅子「アイツはカンが良すぎる…。一人勝ちばかりされてはつまらんからな…む。」
羊「シャカは論外ですしね…彼、ルールとか憶えてくれませんし。しかもイカサマし放題ですからねぇ…」

ほら、目つぶってても見えちゃうみたいで。とムウがカードを指して俺に言った。
なるほどな…目をつぶってても透けて見えるとは、流石だなシャカ
2枚目のカードに腹の内でほくそ笑みながら俺は核心にせまる布石を投げ込んでみた
これが聞きたくてここにいるのだ

「なあ、お前らは… 好みの女っていたりするか?」

これに狼狽えだしたのはアイオリアで
せっかく良い手だったのに動揺の為か手からカードを零してしまった

獅子「なっ…!なんなんだ…っ!?藪から棒に…」
羊「違いますよ、アイオリア。多分彼が聞きたいのはそういう事じゃ無くてですね…」
牛「?…違う意味があるのか?」

あっさり流してカードを回収。
ムウはカードをまとめながら涼しい顔で言った
ああ やっぱ、コイツ 鋭い。

羊「カノンが聞きたいのは、私達が女に興味があるのか?って事でしょう??」

ま、肯定するのも何だから無言でグラスに口を付ける。
それにアイオリアが盛大に笑い始めた。

獅子「ははっ!本気か、カノンっ!はははははっっ!!…あれかっ?あの噂かっ!?」
牛「何なんだ?その噂とは…」
羊「アルデバランは知りませんか。今でも多いんですよ、私達がですね…互いに慰め合ってるというヤツです。」
牛「はぁ…!?意味が分からん」
獅子「雑兵共のなっ、はははっ!下らない噂話なんだ。ほら、シャカとかムウとか…結構女顔だろ?」
羊「しっっつ礼な…!それを言うならアイオリアやミロもその手合いに人気が高かったようですが!?」
獅子「怒るなって…。ほら、続けようぜ?お、きたきた…」
牛「…ま、俺には関係ない話だな」
羊「何言ってるんですか。アルデバランもアニキ候補率が高かったんですよ?」
牛「…うう、…止めてくれ…ぞっとする…」

笑うが本当のように言われてたぞ、お前ら
黄金様達が綺麗な男が多いのはその為だってな。昔からの嗜好を体現しているのだと。
だけどそんな話を笑い飛ばして勝負っ!とムウに挑むアイオリア
俺もそれに乗りムウとリアと俺の3人の勝負 アルデバランはバーストしたようだ
フ、機を逃したな?リア
結果は俺の一人勝ちだ

「で?」
「ふふふ…はい。これが私の景品です」

答えをはぐらかしてムウが籠を漁り俺に小さな石ころを投げて寄こした。
ムウ…食えないヤツだ。
石ころは…ただの石?いや、赤い豆粒がくっついている。コレは、まさか?

獅子「なんだ、それ?」
「おい、いいのか?こんなもの」
牛「ってことは、ムウ…」
羊「はい、お察しの通りルビーです。アイオリア辺りが喜ぶかと思ってましたが、カノンに取られてしまいましたね」
獅子「何で俺なんだ…?」
羊「宝飾品にと思いまして。デザインと材料を持ってきたら加工もしますから」
獅子「……………」

顔を赤くしてそっぽを向くリア。成る程な…贈りたい相手がいるのか。
だけど俺の入れた品と見合わないんじゃ無いかと頭によぎる
他の二人もそう思ったのか顔を見合わせてきた

羊「良いのですよ?私にはまったく興味のない無用の品です。ガマニオンの採掘中にたまたま取れただけですし」
「なら、遠慮無く頂くとする。…ま、加工するかはそのうちな。」
羊「はい。そうして下さい」
獅子「じゃ、次は俺のな。あんまり期待しないでくれよ?」

カードを配るリアを横目にムウが俺に興味津々という感じで話題を再開し始めた。

羊「で、先程の答えなのですが…カノン。私はどちらかというと、ぽっちゃりした“女性”が好みです。」

女性 をワザと強調しながらムウが笑った。
それに俺も、俺もと答えだすアイオリアとアルデバラン

獅子「俺もどちらかというと…グラマーな“女”が好きだぞ?」
羊「そうそう。彼女東洋人の割に胸がけっこう…」
獅子「む、ムウッ!!!」
牛「ケンカをするなって。まぁ俺もムウと一緒でぽっちゃりした“女性”が好きだな。」
羊「“女性”…?アルデバランはてっきり可愛い“女の子”が好きなんだとばかり…」
牛「む、ムウッッ!!」

コイツらの面白いやり取りを聞きながらカードを手に取る
…………イマイチだな。
顔にはだしていなかったはずだがムウがニヤッと笑って俺に質問を返してきた

羊「で?カノンはどういった“女性”が好みなんですか?」

………コイツめ
ワザと“女性”を強調して聞いてきやがった
だが、その手にのるか。俺にカマをかけるなんて8年早い

「俺?そうだな、体はお前らと同じで柔らかい方が好みだ。顔はキレイ系ってトコか」
羊「キレイ系の…金髪?」
「…………とか、色々。」

恐ろしいな…お前…
さっさと方向を変えるには次の疑問をぶつけるのが一番いい。

「では聞くが、お前らが女が好きだとしてもドコで“する”訳だ?いないだろ、聖域に」

リアがバーストしたのでカードを流す
その間に俺の質問に3人が互いの顔を見合わせながらどうしてたんだ?
との無言のやり取りが続いていたが、まずムウから話し出した。

羊「皆はどうか知りませんが、ほら私は聖域を出てジャミールにほとんどいたでしょう?」
獅子「………あんなトコでどうやって女と会うんだ?」
牛「…女どころか人に会うのも珍しいと思うぞ?」

この二人はムウが籠もっていたという場所に行ったらしい。
口々に投げかけられる質問にムウがうっすら笑って答えだした。

羊「良いですか?食料とかの調達とかも有りますし、時々簡素な村などに降りますよね。
で、何か困り事など耳に挟むわけですよ…。辺鄙な場所ですし、それは色々あるものです。」

なにか嫌な予感がする…
俺以外の2人も同じようだ。

羊「で、助けてあげるわけです。病気とか、怪我とか、食料難、災害色々あったものです。
そうするとですね、村の娘さんなんかがすごく良くしてくれる訳です。食事とか、服とか、出来る限りのことをね?」

予感は的中した…ムウ、お前何か外道っぽいぞ
ムウはとてもお世話になりましたと、ニッコリと合掌して話を締めた。
アルデバランがげんなりしつつ、アイオリアと勝負を賭ける
俺とムウは降りていた 結果はアルデバランの圧勝
商品はメタクサ(ブランデー)のかなり古い物。中々良いな

獅子「俺はたいして飲めんからな…で、俺の場合な?俺は良く聖域の外に出されてたし、宮に籠もらず外にも良く出てた」
牛「ロドリオ村の外れは大歓楽街だしな。息抜きしなきゃそれこそおかしな連中だらけになってしまう」

そう言って二人は笑った。
アルデバランなどはそこにお馴染みがいると実にあっけらかんと言って。
噂と違って俗物なんだな、お前ら…。
貴方は?とムウが目線で問いかけてくるので俺も同じだと答えてやる
そう、良く兄の目を盗んで雑兵のふりして遊びに行ったものだ、あそこには。
海界にいたときは良く陸に上がって街で遊んだし、聖域の偵察にも歓楽街は丁度良かった。
それにしても、意外だったな…
12宮の黄金様まで、あそこにお忍びで遊びに行ってたとは。…サガが聞いたら卒倒しそうな話だ。
そんな事を思っていたら、やはりムウが食いついてきた。そうこなくては

羊「じゃあ、サガもあそこに行ってました?なんだかイメージと合いませんけど」
「サガか?サガはな、神官共と付近の村や色々な所に慈善活動行っていただろ?」
羊「はぁ…」
獅子「………あ!」
「で、お綺麗な顔してやがるものだから言い寄ってくる女がわんさかいるのさ」
羊「貴方がそれを言いますか。」
「で、その女達に善人面を見せながらしょうがない、といった感じでいただいちまう寸法って訳だ」
牛「それは…本当か…?うう〜〜む」
獅子「思い出した…それをうらやましがった兄貴が、サガの真似して慈善活動参加してたんだよ…」
羊「あ、アイオロスまで…。…けっこう俗物だったんですね、彼らも…」

お前が言うか。
次は俺が親 カードを配り奴らの表情を窺う アイオリアは実に分かりやすい
そして、やはり猥談は止まらない。カードを一枚表にして腹の中で微笑む
そら、本当の目的が飛び出した
他の人達はどうでしたか?とのムウにアルデバランが答えた

牛「お前達も知ってるだろうが、あの3人は外が多かったからなぁ」
「あの3人?」
羊「シュラ、アフロディーテ、デスマスクの3人です。彼らはよくつるんで遊んでましたから」
獅子「デスマスクは街に良く遊びに行ってたな、それにシュラとアフロディーテが付き合わされる形か。」

ほーう?
俺は指を鳴らした相手にカードをパッと配りながら耳を傾ける

羊「そうそう、彼ならカノンの言うこともあながち違くないんですよね。」
牛「……………アフロディーテはな。容姿が容姿だったから」
獅子「疑いようがない見栄えだしな。懸想する輩は多かった」
羊「でも、知ってました?彼、男だろうが女だろうが突っ込む専門だったらしいですよ?」
牛・獅子「「………嘘だ!?」」

本当ですよ、情報は確かだと思います ムウが腹黒くにっこり笑った。
その時アイオリアがカードを見て喜色満面になった。良い手に仕上がったらしい
アルデバランが複雑な顔をしながら話を再開しだした

牛「シュラは、ああ見えて女好きらしい。デスマスクがそういってたな」
羊「こうなると、謎なんですよね、ミロとシャカ」
獅子「…あれ?カミュを忘れているぞ?アイツこそ謎だ。まぁ早くから弟子取ってシベリア暮らしだけどな」
牛「?…ああ、リアは知らなかったのか。カミュはな、女がすごい苦手なんだ」

……やっぱいる訳か。
カミュ…確かアクエリアス…?あ、あの赤毛の餓鬼!
昔、氷の塊をいきなり頭上に食らったことがある
無表情で嫌なガキだった、確か。

羊「最初に聖域に来た時ですか、世話をしようとした女官に汚いって凄い剣幕でした」
牛「で、ロスの所に出入りしてた女官だったから気まずくなったロスが、俺と交換でサガの所にカミュが行ったんだ」
羊「サガがアイオロスにぼやいてましたね、勝手だって。その後来たシャカもロスじゃ手に負えなくて、私と交換したんでしたっけ。」
獅子「…そ、そうだったのか。知らなかったよ だけれどカミュが女がダメだって昔の話だろ?」

それに意味深に笑うムウ。
勝負を賭けてきたのはアルデバランとアイオリア、ムウはバーストしてカードを見せた
俺はもう一枚を開いて手の内を晒す
やった!と叫んでカードを見せたのはアイオリア。リアの勝ちだ
俺は籠から出してそいつをリアに放ってやる。中古で悪いなアイオリア
腕時計を受け取ったリアが嬉しそうな目をしたので一安心した。

羊「オメガですか。貴方らしいですが、奮発しましたねカノン」
「ちょうど飽きてたからな。アイオリア、そんなもので悪かったな」
獅子「いや、…凄く嬉しい。コレかっこいいな…シルバーで、…これはダイヤか?」
牛「中々似合うぞ、アイオリア」

あんまりにも嬉しそうに笑うのでこちらが恥ずかしいくらいだ。
まあ、喜ばれて俺も悪い気はしない
その時不穏な気配がしたが 気にもとめずグラスに口を付けた
アルデバランがカードを配りだした時、ムウが黒く笑んだような気がした

羊「カミュとミロって付き合っていたんですか?」

ムウが言った一言に、思わず酒にむせてしまった。ゲホゲホッ…!!
な、何!?だがアルデバランとアイオリアがきょとんとしながらそれに答える

牛「それはないだろ。仲は良かったがそういう関係じゃ無いと思うぞ?」
獅子「アイツらは親友だ。それ以上でも以下でもないだろう」

……………。
そうか、親友だったのか。
でも、ミロは友情にあつそうだから…そう見えたのだろうか?
アルデバランやアイオリアもそう言っている事だし
だけどムウは引き下がらない

羊「だって、キスしてたじゃないですか。あの二人」

ぶはっっっっ!!…えほえほえほっっっ!!!
配られたカードをめくるどころではない
ムウがしれっとした顔でティッシュを寄こしてきたのでとにかくそれで拭いた
だけれど決定的なその言葉にアイオリアとアルデバランははは、と笑う

牛「ムウ、憶えてないのか?アレは飴のやり取りだ。サガの所にいた奴らの中で流行ったろ?」
獅子「それを言ったらシャカもミロとしていたし、俺もミロにやられたからな」

ななななななな………!!??何だとっっ!?
動揺しまくりの俺を無視して会話がどんどん進んでいく
それは聞きたいような、聞きたく無いような…

羊「そうでしたか。でもあの二人いつも一緒にいましたよね」
牛「というかカミュが独占したがってたな。カミュはミロ以外にはそっけないから」
獅子「そうそう。無表情でいつも一歩引いてる感じな。でも、ミロと仲良くなってからはちょっとずつ話すようになったよ」

ま、そうだろう。ミロは面倒見が良いから
手の内は動揺に反して良い仕上がり
もう一枚寄こせと人差し指で机を叩いた時だった

羊「でも、デキてますよ。あの二人…」
牛「根拠は何だ?前の戦いでミロがああなったのは、カミュだけが理由じゃ…」
羊「まず、話を戻しますとやっぱりカミュは女が駄目そうでしたね」
獅子「だからそれは昔だろう…あ! 確かにあったな。シベリアに派遣された伝令だか雑用の女官…」
牛「あったな。で、代わりの神官がその筋じゃ名高い美青年だった」
羊「そうそう。その話を色々妄想をくっつけて話してくれましたよ?ウチに定期的に来てたお目付の神官が。」

……………………………

…………………………………………(トントントン)

………………………。


良く分からないが、……楽しくないことだけは 確かだ
ボンヤリとしていたらもう一枚カードが手元に配られていた
何!? ―――――あ、クソッ 思わずテーブルを叩いてしまっていたらしい
チッ……ムウめ、嫌な話をする

獅子「でもなぁ、仮にカミュとデキてたとしてだ。…無理がある」
牛「そうだな。その神官が詮議にかけられたとかで、ちょっとの間だけ変わりでミロが行ってたが数回だけだ」
獅子「だな。あとはほとんど会いに行ってない。そんな遠距離恋愛ってあるのか?」
羊「え?そうだったんですか。私はてっきり週に一回は訪れて愛を確かめ合ったりしてるんだとばかり…」

ないない。と首をふる二人にホッとした。
確かにあり得ない。アイツが職権乱用などして男と逢い引きなど――――あって堪るか。

獅子「あ〜、確かその後ぐらいにミロが凄い荒れてたな。…処女宮でシャカと大喧嘩までしていたぞ?」
牛「あれか!ミロがすごいボコボコにされていた…あれにはビックリしたなぁ」
獅子「シベリアでカミュとケンカでもしたんだろ。アイツら両方頑固そうだし」
羊「で、シャカに八つ当たりして返り討ちに?ミロも変わってませんねぇ」

あの…シャカに八つ当たりとは。恐れ入ったぞミロ
俺はバーストしたので高みの見物 ムウの気合いが結構入っているな どうした?

羊「じゃあ、違いますか…ミロって歓楽街に遊びに行ってたりします?この前の時もあまり降りて来ませんでしたよね?」
牛「ミロは意外と出不精だな あまり天蠍宮から出ないみたいだし、下で稽古もあまりしないからミロを知らない雑兵も多い」
獅子「シャカもな。アイツ何喰って生きてんだか分からないよ。あ、でもミロは最近カノンと良く出かけるじゃないか」

う、その話…振るな。この前ヘマをしたからキツいんだ
重い気持ちになりながら勝負を見守る 降りたリアと俺は高みの見物
アルデバランとムウの一騎打ち …勝負は、やはりムウが取っていった。
ま、これで皆に景品が行き渡ったのか。
ムウが嬉しそうに笑いながら俺に話しかけてきた。

羊「ミロと…そういう遊びとかしてますか?」
「いや、そういうのはしていない」

そうですか、と答えてアルデバランから渡された物を嬉しそうに掲げた。
うまくごまかせたか。
ムウを見れば…成る程。コイツが狙っていたのはコレだったらしい。

獅子「何だ?それ…」
牛「ブラジルで見つかった水晶だ。中に入ってるのは多分…」
羊「ええ。スターダストサンド…キラキラ光ってキレイでしょう?」

ムウの手から見える透明な結晶の中に揺らめく小さな金の輝き
中々キレイだ…

牛「そう言えばな…前にデスマスクがミロに色々教えていたな」
獅子「色々とは?」
牛「悪い遊びというやつだ。それこそ歓楽街に連れて行ったり、変なビデオを見させたり熱心だったぞ?」
羊「あの人…そんな事していたんですか。まったく。」
牛「それが、デスマスク曰くミロのトコの神官に頼まれたらしい。ミロは真面目な所があるからな」
獅子「確かに。変なところで真面目だよ、アイツ」
羊「で、どうだったんです?ま、分かり切った事ですか…」
牛「そうだな。あまり好ましくは無かったんだろう。今も遊びに行ったなんて聞いたことがない」
獅子「昔からアイツが下に降りてくるのなんてミロス島に修行に行くときくらいだよな」
羊「…本当に、修行で行ってたんだと思ってるんですか?オメデタイですね、アイオリア」
獅子「…何だと?随分言ってくれるな、ムウよ」

お前らケンカはやめろって 俺とアルデバランで止めに入ってその場を和ませたり
それにしても…、そうか。…やはりか
コイツらが知ってた話と照らし合わせると―――――
この前聞いた話が真実味を増してしまう。
ちょっと、切なくてグラスの酒を舐めた
同じ男として…それは同情を禁じ得ない

羊「ホントに。あの二人はいったいどうなってるんですかねぇ?」
獅子「シャカなら…何となく納得してしまうがな。ヤツは想像を軽く超えてくるから…」
牛「きっと知ったら何気ない事だろうそれを俺達がしらないだけさ」

サガやアイオロスの事みたいにな、とアルデバランが笑ってその場はお開きになった。

そうだ。
知ってしまえば…それは何て事のない理由


ミロには、必要が無い。


俺はファイルを掴むと自分の宮へと戻っていった。














ムウはスターダストサンドがお好きなようですね☆   だけれど、真実は果たしてひとつなのか?



ファンには申し訳ない設定で、ホント申し訳ない。(土下座)黄金の兄貴達を俗物にしてみましたv
特にムウが外道ですね。でもそんな感じがするのですよ〜☆チベットの山奥の村はス・テ・キ!
そしてカムはですね、この話のカムはですね!どの話の和菓子とも違う設定なのですよ〜〜っっ
そこら辺もお楽しみにどぞどぞ☆あ、それとBJ知らんのに書いた。間違ってたらこっそりと教えて下され(←おいおいっっ)
人の多角面を、また違う角度から検証。その形状は似通っていたが、果たしてそれは真実?