誤解が生んだ顛末 (1)












心が、重い。
頭が上手く回らない、体が…だるい。
今日の執務当番はアルデバラン
むすりと黙り込む俺に何かと気を使ってくれるのだが、それも困りものだった。
俺は気を使われる価値など無いのだ
お前の大事な仲間を、それこそ俺に色々と気に掛けてくれていた仲間を、
犯して楽しんだ 最低野郎なのだから
それを考えてしまうと吐き気が込み上げたが、顔に出すまいと必死に取り繕う
昼飯を少しだけ口にし、何でもないと気遣いをやんわりと制し午後の執務をこなしていた時だった。
アルデバランが使いに席を外した時に、ずっと黙ったままだったシャカが口を開いた

「ミロ…」

ギクリと体を強ばらせたのに気が付かれたのだろう。
シャカがやはりミロか、といった口調で言葉を続ける

「…と何があったか知らないが、謝りに行きたまへ」

神経がイライラと俺を苛む。したくはなかったのにシャカに八つ当たりをしてしまう

「何があったか知りもしない癖に、…俺が悪いと何故分かる?」
「君が悪いのだろう、そういう顔だ。」

は、そうかよ…と憎まれ口を叩いて自棄に口を歪める。
謝って済む問題では、もう無い。これはもう修復不可能な事なのだ

「早いほうがいい、君も彼もぐだぐだ悩み続ける所などは良く似ているな。懐かしい」

“懐かしい” という言葉で“彼”が兄の事だと悟る
ああ、そうさ。
俺達は似すぎてるのさ…離れてたってとんでもない悪事を犯したのは一緒だった。
もともと一緒なのだ。遺伝子から何から。
俺のような男がやはり生き返ってはいけなかったのだ……

「その鬱々としたコスモを止めたまえ。ミロも案外さっぱりした男だ、謝ればきっと許すと笑うだろう」
「ばかな…無理だ。俺はミロを裏切った…優しさにつけ込んで…非道い事をしたんだ」
「後悔しているのだろう?試しもせずに決めつけるなど、全く愚かで救いようの無い馬鹿だな君は」

知りもしない癖に…謝って済む問題じゃない…そんな、軽いものじゃない!

「心の欲求をあえて閉じこめる、人は時に愚かだなカノン だがミロは…」
「………………………」
「彼はそんな迷いなど逡巡せずに試すだろう。そういう男だ、無駄だと分かっていても試すのがミロだ」
「………………だが、俺は違う………」
「そうだな、だから彼を少し見習ってみたらどうかね?」
「無様な姿で泣いて謝って見ろと、そう言うのか…縋り付いて、泣いて詫びろと?」
「は!今が無様で無くて何なのだね?せっかく生き返らせて貰ったのだカノン」
「俺は望んではいなかった…」
「ふん。贅沢だな、君は。せっかくやり直しが利いたのだ、一度くらい生き方を変えてみたって悪くなかろう」
「……………………」
「後悔する暇があるなら、現状を打破する可能性を追ったらどうだね ミロは度量の広い男だ。少々、しつこいがな…」

何かを思い出してシャカが眉を上げて俺に言った。
だが、シャカがこんなに喋るなど本当に珍しい…
いつも口を開けば 毒舌、悪態、罵りの類ばかりだと言うのに。
これは、シャカなりの気の使い方(最上級)なのだろう
それに、ほっと頑なだった心が少しほどけていった

「…………………考えて、みる」
「そうしたまえ。こじれる前に、なるべく早い方が良いだろう」
「……気遣い、感謝する」
「まったくだ。」

まだ気は晴れるわけでは無いけれど俺はシャカに笑んで見せた
シャカもそれに微笑をして返す。
帰ってきたアルデバランも俺の態度が軟化したのを悟るとほっと一安心して何も触れずに見守ってくれた
ああ、仲間というのも悪くないものだな…
その後、幾分か気を取り直して執務をこなすことが出来た







シャカから見た、サガという人物   シャカから見た、ミロという人間



マイマイ…突貫します!ということで久し振りに始動しました裏話。
これメインなんだからさくさく進めないとね〜☆痛いけど(笑)
さ、シーンは初めてミロタンを頂いちゃった(強姦しちゃった!)翌日のお話。
間の悪い事って続くもんですよね★

シャカさんがぼやいた、"少々しつこい”とはいったい??