幼き日の思い出 (5/Sideムウ/教皇シオン存命中) ぐしゃり!落ちた先はドロドロのとてもとても酷い臭いの場所だった。二人でその臭い液体でドロドロになりながら上を見上げる 遠い。遠くに見える地上の穴は本当に小さな丸で、二人で見上げながらその深さに呆然とした それは子供といえども黄金聖闘士の素養がある私達で無ければ死んでいたような深さ 到底、通常の人間が登るなんて出来ない…雑兵でも無理な、そんな高さ。 だけれど私達ならもしかしたら…と小宇宙を燃やそうとしても何故か無駄に終わる。 力がまったっく出ない…もちろん念動力の類も一切。何故? 「うえええっ」 ミロへの怒りも、不安も忘れて私はただ吐いた。この臭さに目も鼻もやられてしまう それぐらい酷い激臭 息をするのでさえも嫌になるくらい。酸っぱさと、肉が腐ったようなイヤラシイ臭い どこもかしこも真っ暗。酷い臭いのドロドロ。ヌメヌメ まるで地獄の底に落ちたよう 「むー…だいじょーぶ??」 だけれどミロは、平気そうな声で私に問いかけをする そして小宇宙が燃やせないと分かると、壁をよじ登ろうとチャレンジを始めた 爪を必死に石に食い込ませよじ登ろうとするのだけれど、少し登っては落下 何度も何度も登っては落ちて、ドロドロまみれに。 次第に目が慣れ、天井から僅かに漏れる明かりで、そのドロドロの正体を知る それに一気に青ざめた 「ミロッこれぇ…ひ、人!」 辺り一面人間の腐った死体。壁には古代文字がびっしりと。 異常事態にパニック起こす 何なのだろうこれは?ここは、なに? 文字は、きっと小宇宙を封じるものなのだろうが、その時の私はそんな事など思いもしない 「あ、だえかいってたぁ わゆいことしゅるといどにおとされちゃうよ〜って」 ミロがアッケラカンとそんな事を言いながら、また壁をよじ登り落下する 私は絶望的な気分になって泣いた。もうここで死ぬのだと本気で思った 井戸の壁には剥がれた爪が。 落下して死んだ者が殆ど。 だが生き残った者は皆ここから上がろうと足掻いたのだろう 良く見れば殺されてから放り落とされた者も多いようで、首が切り落とされている死体も多かった ばちゃん!とミロがまた落下した。色々、絶望的な気分になってくる。 何でその反吐泥を頭から被って平気なのか、私はそんな事ばかり他人事のように感じてミロを見た 「…だめぇ、何かベトベトで滑っちゃう〜〜」 そう、このヘドロ …腐った人間の成れの果て 壁に触れると岩に人間の油がこびり付いているようでヌルヌルしている 触れた箇所をヌルヌルにするのは…きっと分解されていない人間の 脂肪だ。 その、不気味さと気持ち悪さと恐ろしさに震えた。自分達もこうなってしまうのか 「うええええ!う、ううっ ひ〜〜〜ん」 とうとう私は泣き出した。小宇宙も塞がれただの子供2人に一体何が出来るのか 悲嘆する私に ミロがそっと側に寄り沿い、手を繋いだ。 ドロドロのミロの手だけど、さっきまで喧嘩していたけど、 その手は温かく何とも心にじんと染みたのを私は今でも忘れない 「だいじょぶ、かえろ!サガにおふぉいれてもらお!そしたら、だいじょぶ」 きっとこっちでぐち!くーきちがう ミロが励ましながら私の手を引く。 暗闇をさ迷い、足元の死体の群れのぐにぐにした感触に戦き蹴躓きながらも歩み出す 幾重にも別れた迷宮 本で読んだミノタウロスの話を私は思い出した 角を曲がる度、化け物が潜んでいるのではないかと戦いた。 無数に転がる、首無し死体はそれにやられたのだと思った そんな不安でいっぱいの私は暗闇に慣れた目でミロを見る その表情は頼もしく 私はただミロに引かれて歩いた 幾重にも別れた道を、鼻をすんすんと鳴らして惑い無く歩んでいく きっとそれは流れ込んでくる空気をかぎとっていたのだろうが、私には分からない。 なぜなら悪臭ですっかり鼻が麻痺してしまっていたから 何故、ミロはあんな臭いが平気なのか 今でも本当に謎だ 「あえ〜だれかいーよ?」 どれくらいさ迷ったか良く覚えてはいない。 だけれど泣きながらヘトヘトになる寸前であったろう所でミロが突然そう呟いた 誰かいるよ?と多分言ったであろうミロの指さす先には僅かに漏れ出る炎の光が 階段を上がると何故か小部屋が。覗けばその部屋には、何か割れた丸い物が山積みにされている …異臭がする。この地下で満遍なく匂う悪臭と、焦げた嫌な匂い。奇妙な薬品の匂い 何か実験をしているような…そんな道具が散りばめられた部屋 その隅にどうやら人がいるようだけれど…椅子の影で分からない。 その異様な光景に私達は物怖じし、そっと小部屋から様子を窺っていてのだが… 「誰だ?」 「「ひうっっっ」」 すくみ上がる私達に声を掛けた人物は、ゆっくりと椅子から身を起こして立ち上がった 現れたのは度々目にする重厚な法衣 漆黒の仮面 ラドンの兜で… 「…ムウに、この泥だらけはミロ?じゃな、はぁぁ〜お前達、こんなトコにきおってからに」 「う〜 ごめんちゃいきょうこーさま…」 「ふう、ゆっくり眠る事も出来んとは… は〜、参るのぉ…」 「………?………だれ?……」 その人物はどうやらさっきまで眠っていたようで、ゆったりと伸びをしたり欠伸なんかもしていた ミロがとっさに頭を下げた。だけれど私はポカンと目の前の人物を見上げる あとでサガに叱って貰わねば、馬鹿者が。 そう言ったのは紛う事なき師・シオン、だったはずなんだけれど 良くは分からない だけれどいつものシオンの手がスベスベとしていて… 「し、おんたまぁ?」 禁忌の名を口にしてしまう。 「どうした?ムウや」 耳にした声もどこか違ったけれど その温かな小宇宙や優しい手つきは紛れもないシオンそのもので。 相手が師・シオンと確信した私は疲れもあって、何の疑問も持たずにウトウトしながら手を引かれて歩いた もちろん、ミロと共に。 |
ちゃんと幼いカンジ、出てますかね?相変わらずのエセ過去話でございます。
確かこの井戸の設定考えた切っ掛け、アニメか映画か何かで目にした物なんですけど
聖域の、きっと偽教皇時代のシーン…かなぁ
で、殺した雑兵とかを岩の割れ目に放り投げるシーンがあったんですよ!(確か)
で、こういう妄想しちゃった訳です。…え?こういうが何か分からないって?
ふふふふ…聖域地下迷宮へようこそ!←意味分からんって。
ムウがシオンの事が分からなかった理由