NOVEMBER RAIN


LAST・NOVEMBER 9

















明るい光が眩しい



・・・何も ・・・見えない



いや、



・・・何かが自分を ・・・覗いてる?



頬にポタリと雫が落ちた あたたかい・・・それは、涙だ。
見上げれば、男が自分を見て涙を流していた。・・・シャアだ。
目が真っ赤だ。


『・・・僕の為に・・・泣いて・・くれるの?』


喋ったと思ったけど声が出たのか分からない。・・・ひどくかすれている?
彼の涙を見ながら胸が熱くなるのを感じた
先程父から温もりをもらった場所だ。


・・・ああ、僕、馬鹿だな  ここに泣いてくれる奴がいるじゃないか・・・。


・・・それに彼だけじゃ無いだろう?
フラウだって、カミーユだって、みんなみんないるじゃないか・・・。

そう思ったら目からひとすじの涙が零れた。
その涙が、心のオリを全て流してしまったみたいで
心を訳の無い安心感が温かく包んだ
心に大丈夫、大丈夫と囁かれているみたいだ。
僕は、彼に微笑みかけながら声を掛けた
シャアの瞳が驚きで見開かれている



『 おはよう 』



シャアの顔がくしゃりと歪んで、温かい雫を降らせながら 僕にキスをした。

そのキスはとてもとても甘いもので
その口中に広がる甘さに、僕も驚いてしまった。




外から溢れる光がとても眩しい
その光に照らされる彼の金の髪が輝いて見えて、とても美しかった。


身体は、 まだクスリを欲しがっている。・・・だけど、大丈夫。
生きようと思ったんだ。 ・・・もう少しがんばろうと思ったんだ。
我慢できると思う
耐えることも出来る
自分は一人じゃ、無いのだから。



覚悟を決めて彼に一つだけ質問をする
シャアに聞いておきたい事が1つだけあった
自分は、・・・彼にひどい事を沢山したのだ
まだ、許してもらえるだろうか?


『 シャア・・・ 』


かすれた声で小さく呼びかければ彼は気付いてくれた。
優しく頭を撫でながら泣き濡れた顔で “なんだい?” と問いかける
続ける言葉に勇気がいった
だけど・・・言わなくてはならない。
これが第一歩なのだから・・・


そう、これからも冷たい雨は降るだろう。

身も凍るような、悲しい出来事はやってくるだろう。

・・・でも、 僕は知ったんだ

止まない雨は無いんだという事を



『 シャア・・・ まだ、 僕のこと ・・・ ・・・好き、  かな? 』



すっかり降り続いていた雨は止んでいて、
明るい日差しが窓から柔らかく差し込んでいた

その光の中でシャアは優しく微笑んだ
泣きはらした顔なのにその笑顔はとてもとても美しくて・・・。



「 ああ  大好きだよ、アムロ 」



おでこに一つ口づけを落とし額を寄せて温かい涙を降らす。
僕はそれを受けながらゆっくりと瞳を閉じて微睡んだ。・・・優しい夢を見た気がする







それは11月の終わり 降り続いた雨がやっと晴れた日の事で。

久し振りに雲間から顔を覗かせた太陽光が

冷たくなっていたニューヨークの街並みを美しく光らせた時だった。











(NOVEMBER RAIN    END)











ふえ〜〜〜、やっと終わりました。パラレル(しかも現代?)の恋愛ホモ嘘つきエロシャアム小説
ちょっとした思いつきだったのに、こんなに長くなるとはね〜ハァ〜〜。
えーと、お気づきの方いらっしゃるかしら?
格章の頭に出てくる詩みたいなヤツは“ACO”さんの“空知らぬ雨”からご拝借いたしました。好きな曲です!
ストーリーを決めるとき、題名何にしよ〜?と思っていたらこの曲が。んじゃ、11月の雨!あ!11月ったら誕生日じゃん!
てな感じで着々とお話が出来ちゃいました。四話構成なのは一応起承転結を意識したからです。

まぁこんな話ですが誰かが面白いとかくだらねぇとかそういうふうに時間をつぶしていただければ本望かな
どんな感想でもいただけるととてもうれしいです。

読んでくれた皆様方、長々とお付き合いいただきありがとうございました!



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