嫉妬 そして奈落の底へ(後編)












何度も何度もミロの中に吐きだして 執拗に肌に歯を立ててまた揺さぶって。
サガの言葉でお前を嬲って また快感を追って…

終わりの見えない快楽にまたぶるりと内股を震わせた
ミロの後ろからこぼれ落ちる白濁でお互いの下半身はドロドロと汚れていて…
その様にまた興奮して抜かずに腰を揺らめかす、もう一度…まだまだ、もっと。

「お前もッ 気持ちよくなれば良いのに… 私の事を、 ン…怒っているのかい?」
「… … …っ……… ……」

ミロの前に何度手をやっても全く反応はしなかった。
無理に犯したから?それとも慣れてないから?男相手だからか?
…それとも、あの話が本当だったから?
だがそれとは逆にミロの中はとても熱くさざ波うっていて、情熱的に快感を寄こしてくる。
悪い身体だ。…男を悦ばせて誑かす、悪い子だなミロ

「でもミロ、お前の身体は心地よい。あぁあ… 私の、居ぬ間に何人の男をここに…咥え込んだのだ?」
「………… ………ッ… …… …… ……」

掠れたうめき声 わななく唇。汗に濡れた頬に張り付いた髪、全てが欲を煽りたててくる。
たまらない脈動に夢中で擦りつけながら、彼を目に焼き付けた。
長い髪が張り付いた無駄のない躯 驚くほど柔らかな肢体 汗を滑らせて艶めかしく月明かりに光る素肌。
すらりと素直に伸びた足が好ましい。抱え上げて深く深く突き刺した。
先程からミロの反応が薄くなっている。意識が朦朧としてきているようだ…

「いくよ…お前の中に、あぁ、ミロ… ミロ、ほら、…ナカへ、注ぐよ…!」

獣のような激しい息づかいのまま、ミロを犯した証拠のようにナカに奥にたっぷりと解き放つ
尿道をどろりとした精液が滑る堪らない快感
中に吐きだした事でお前を征服したのだという、薄汚れた達成感と陶酔感。
そして、お前を汚してしまった背徳感と後悔、憎しみ…どうしようもない恋慕にいじまれて俺はお前を見た。
ミロはどこか人形のように四肢を投げ出して虚空を眺めていた。
……ミロ?

「……そんなに良かった?気を何処かへ飛ばしてしまう程に…」

崩れ出す仮面、言葉はそのままにあの兄にはなかった皮肉気な笑みでミロを嗤った。
てっきり噛みついてくるかと思ったミロは全く反応が無かった。
内心それに焦りながらゆっくりとミロから引き抜いた。どろりと零れ出す劣情の証
だがミロは呻きも身じろぎひとつもせずにどこか知らないところを見続けていた。

「……ミロ?」

ふいに不安になってミロの頬を手で包む。
そのままこちらを向かせると俺を認めてじっと見つめてきた
その顔は何の感情も感じさせない… 俺を責めるでもなく ただただじっと。

「ミロ、 〜〜〜〜 …気持ち、良かったかい?」

ミロの視線に耐えられなくて、皮肉も込めて兄の真似をしてやった。
だが、ミロはその不完全な俺を見て、うるりと瞳を潤ませる。
一筋だけ流れた涙が、場違いなほど綺麗だった
そして従順にこくりと俺に、いや…サガに頷いて見せる。

……う、嘘を付けッ!お前は、お前は何処までサガを信頼している!!

「…お仕置きだ、ミロ。 お前は間違っている…こんな、」

指を突っ込み掻き回す。呻くミロを無視しながら…

「う、あ、あ… さ、サガ… アウッ!」

無体な仕打ちをされてもひどく従順なミロの反応 俺をまだサガと思っているのかッ!!
わざと痛みを与えるように傷口をゆっくりとなぞって苦しめる筈だった。
白くねとねとしたした物に混じってとろりと赤い血も混じり出す。傷がまた開いたようだ。
だけれどミロは腰をくねらせて、まるで悦ぶように身体の中をわななかせた。頭の中をカッと血が昇っていく

「なんてはしたないのだろう!お前は、ここ
『人の…』をこんなにして!『…なんて!』
「ウウ、……ァアア……………さ、がぁ……・・」

何かが自分の声に重なって聞こえだした。何かが意識に紛れ込んでいる
これは、今の声は、ミロの…記憶、…なのか?

「……………ミロ…?…」
「サガァ………ご、めんなさぁい… もうしません……・う、ううっ……っ…・」

子供じみた声で泣きながら謝るミロにゾッとして指を引き抜いた。
何を言っている?ミロは何を…?だってあれは揶揄するつもりで言っただけなのに…
まさか、あり得ない。そんなこと、そんな事!
だってサガはミロを自分の本当の子のように思っていたのを俺は知っているのに!
ああ、だけど…俺は知ってるじゃないか、あいつの狂気を。結局は狂ってしまったアイツの精神を!

「ごめんなさい…ごめんなさぁい…… サガァ…俺を、嫌いにナラナイデ…!」
「…………………ッッ!!」

止めろっ!やめてくれッ!!俺は、一体何を見ているんだ?!
…その、ごめんなさいを止めてくれっ!!ああ!この言葉…こんな形で耳にするなんてッ!
止めてくれよ!!お前を…幼い自分と錯覚してしまいそうだ!

「〜〜〜〜〜〜〜〜っ!」

たまらずミロの肩を揺さぶった。
するとミロは電流を打たれたように我に返り俺の手を殴って振り払った
目の焦点がしっかりと俺を見定めて、何かを考えるように間合いを取りながら後ずさる。
今の記憶が、…無かった? ミロは目の涙に驚きながら体制を幾分か整えると、
抜け落ちた表情のまま俺を見つめて皮肉を込めた言葉を言った

「………満足か?」

冷ややかな瞳
そこには怒りでさえもぶつける価値がないのだという侮蔑の色が込められている
すまない、すまない。俺は何て事を…  俺は、ミロの心も体も傷つけてしまったんだ
ミロに見放されても仕方が無い事を、俺は、したのだ。

「満足だ…」

だけど出たのは後悔とは裏腹な言葉で
…は、ははは。 だけど、この言葉はまるっきり嘘じゃない
それが、絶望的な気分にさせる。躰が、まだ歓喜に震えているのだから
すごく良かったよ、お前の身体。誰よりも誰よりも最高に興奮した、ハマってしまうくらいに良かったよ。
……こんな俺がミロを思うなどと、可笑しくて笑い飛ばしてしまいたい

「…そうか、」

ミロが汚れたままの身体に服を身に付けていく。
所々引き裂かれたりよれてしまった服…身に付けると濡れた素肌にくっついたり、
下からは鮮血が早くもにじみ出していた。正に、犯されました という体だ。
だがミロは気にせずにドアを開けた。目を吊り上げて皮肉気に口元を歪めて俺を見る

「それは良かったなッ!」

ドアの近くにあったスタンドライトを苛立たしげに蹴り上げるとドアを叩き付けて出て行った
………そう、この粉々に砕け散るライトと、同じだ。
もう二度とは戻らない 粉々に砕けてしまった関係  ……俺は、俺は何て事を

「〜〜〜〜〜〜〜 ……は、」

自分が堕としてしまった、ダメにしてしまった。あの奇跡のような幸せを…
もう、あの日々には戻れない ぬるく、温かな思いやりと笑顔が自分に向けられる事はもう二度と無い

「は、は… 最低だな…」

ははは、どうしようもないな 俺は。
どうしてだろう?どうしてこうなった??自分はいつもいつも、こうだ。

大事にしたい物ほど壊してしまう。
ちょっと、あともうちょっとと欲張るととたんに崩れて粉々になってしまう。
求めない方が良かったのだ。ただ、眺めるだけで満足すべきだったのだ。

消えてしまいたい
だけど明日お前を見れるのならと意地汚い望みを抱いている浅ましい自分
ああ、恨まれても。蔑まれても。殺されてもいいんだ…お前をその瞬間まで見続けていたい

あの愚かな神官と俺は一緒なのだな…
お前に焼き尽くされて死ねるのなら本望だなどとお前にとっては迷惑この上無い事だ

ははは、… は… …

もう一度乾いた嗤いを零した。
いつの間にか涙が頬をこぼれ落ちている
いたたまれない気持ちに身を妬きながら空虚なまま横に転がって、
ただ窓から見える空を見た



「愛してる、ミロ」



勝手に口を吐くその言葉

馬鹿だな、呆れてしまうよまったく

お前にそれを言う価値は無いんだ

お前がそれを思う資格も無い。



「愛してるんだ、ミロ…」




だけれどいくら思っても、言葉は勝手に口から零れだしていた。













幼い自分と錯覚??



久し振りのエロでしたねvさてこの後どうなる事やら
展開としては、雨降って地固まる…なので大雨大嵐がくる予定ですかね〜?
ま、その前にちょこっとコーヒーブレイクしたいと思います。
一章が終わるまで、読者さんがついてくるか、どうなのか(笑)

ミロはサガに従順だった?