故人と友人・過去と現在(6)















「ミロ?これを…」
「……ああ」



シャカがニコッと笑って食べかけの皿をミロに差し出した
ニコって…お前っ、

…俺はお前が笑ったのを初めて見た

何だ? ミロに喰えって事か? 食べかけじゃなくても有るだろうに、何なんだ?

それにしても珍しい。シャカは普段辛いものばかり食う
クソ辛いカレー、同じく辛いチキン(←何か色が毒々しい)それとは対照的に甘いヨーグルトドリンク
つまり、この国の料理をあまり食べない。
俺としては辛いんだ、何てったってギリシャ生まれのギリシャ育ちだ 普通にムサカとかが食べたい
なので久し振りのこの国の料理にホッとする
何だお前…今日に限ってこの料理
もしかしてミロが当番だからか? 差別だろ、オイ!
じと目でシャカを見れば………オオオオオオオオオオオオオオオオイ!!???
何をしている…!?? ここはいつからキャバクラになった!??

「旨い?」
「まぁまぁだな!」

ミロがフォークでシャカにああ〜んと食べさせていた!!
ピンク色!台詞も動作も新婚か!? クッ…ピンク空気禁止!!
…ちょっと待て
(←悔泣) …あれか!? それは教皇権限ってヤツなのか!?

ぱかっと当たり前のように口を開けるシャカに丁寧に口へ食べ物を運ぶミロ
甲斐甲斐しい事この上ない

ピンクだ!
ピンクのコスモが見えやがるッ!
(←幻覚です)

…  はっ! …羨ましくなんてない
羨ましくねぇっ!

…嘘だっ
メチャクチャ羨ましいっ!!

畜生オオオオ……!! シャカの奴ゥ!!
職権乱用!!職権乱用ッ!!!
…!!もしかしてサガの奴もこのような事をしていやがったのか!?
(←当たらずとも遠からず。アニメ…)
俺もどうすればっ!
…と目まぐるしくシュミレーションしていると、ミロが何故か固まっていた


(………………………?)


ミロがフォークを持ったまま一瞬固まると、瞬く間に顔色を青くさせる
それはまるで血の気の引く音が聞こえてくるような感じで

「あ、ちょっとすまん …席を外す」

丁寧に皿にフォークを戻しながらそれだけ言って席を立つ
駆け込んだ先はレストルーム
そうなった理由は分からないが、何をしに行ったんだかは良く分かっている
シャカがため息を付いていた。



…ああ そうか、分かった
シャカが今日に限って普通の飯にした理由。
よく見るとそれは胃に負担の少ないようなメニューばかりで…



「ミロに 食べさせる為か…」
「無駄になってしまったがね」



そう ミロは、戻す事が多い
それは元々胃弱という訳では無いようで。
では、心の問題なのだが …それは知らない 知りたくも ない


「まだ分からない。戻って食べるかもしれないさ」
「いや、無理だな。つまらぬ事をしてしまった、か。」


フォローを入れるが俺もそう思う。だけどつまらない事とは何なのだろう?
ミロの奴 見せないように振る舞ってはいるが分からない奴はいないのだ
アイツ、一回りほっそりした 服やムウが言う直していた聖衣でもそれが知れた
俺が知っていると言うことは、他のヤツはもっと知っていると言う事

しばらくたってから顔を出したミロはやはり食事を下げさせていた
仕方ないだろうな、そんな青い顔で口に入れてもすぐに吐きだしてしまう事だろう



なぁ…お前はいつ、立ち直ってくれる?



心だけで呟いた言葉 誰も答えられる奴などいない。それはミロ自身でさえも
悪い顔色で午後の執務を手際よくこなし早めに退散すると告げたミロ
それはいつもの時間のいつもの行動をするためだろう
送り出す背中をじっと見つめて、シャカにいつの間にか口を開いていた


「なぁ、ミロのあの法衣 アイツがあんな格好ばかりするのはやはり…」
「喪に服す、だろう。彼は義理堅く情深いからな」



そうだろうか?
本当にそれだけ??



あらかた書類を片付けてムウに相談しようと思っていた案件を持って十二宮を下る
ついでだからとそっと墓場を覗いてみれば。



朱い夕日に染められた花園、
死者の眠るその花畑でミロは微笑し微睡んでいて。



(頼むから… そっちに行くなよ…?  なぁ、早く忘れちまえよ… 死んだ奴の事なんて)



不敬な祈りをかき消すような穏やかな静寂
よりかかる墓標に刻まれている言葉



“CAMUS”GOLD AQUARIUS SAINT



幸せそうに眠るミロに声などかけられる筈がなかった。
俺は早くこっちに帰ってこいと強く願ってその場を後にする





肉欲の有無より、もっと大事な事

欠けた心はどうやって癒す?





ふと思い出したアクエリアスの幼い姿。
…カミュは、見事なまでの赤い髪をしていた。



「…ああ。…とても綺麗だ」



酒場の女の髪をいじり、懐かしそうに目を細めるミロ
思い出して、胸が詰まる



そっと花を踏みしめながら俺は白羊宮へと歩き出していた。















ミロが顔を青くさせた、シャカ曰く“つまらぬ事”



さて、私の意図は垣間見えてしまったでしょうか?
この独りよがりなお話を妄想を逞しくして楽しんでいただけたらなぁ〜と ほくそ笑んでおりますv
物語は混迷を極め、複雑に絡まり、そして何処へいくのでしょうか?
ま、自分の望む世界など腐りきってるだけなのですが。わははは!ウワーハハハ!!

Q1:ミロの肉欲の有無 (そして噂、神官の話等の理由を想像逞しくして頂けたら面白いかと)←え?
Q2:ミロとカミュの関係は?(出ました!ミロと言えばカミュですからね でもこの世界はどうなんでしょ?)