誤解が生んだ顛末 (3)













「… … …ッ …声、 出せよ…っ」

はぁはぁと互いの息のみが木々のざわめきに混じって聞こえる
建物の物影から誰かの視線を感じたが、無視してミロを味わった
巨蟹宮の横、俺は相変わらず懲りずに挑んでくるミロをぶちのめして獣のように貪っている
「………。………ッ… ………ゥ…… ……」
ミロは俺の言葉に睨みを返すだけ
こんな所で、と歯噛みした彼はプライドなのか歯を食いしばり巨蟹宮の石壁に爪を立てて声を堪えていた
爪が僅かに紅く染まっている。未だ先程の戦意が身にくすぶっているようで今日の彼はいつにも増して反抗的だ

―――――それが余計に征服欲を煽る。

無言で抵抗する彼を引き掴んでえぐり立てる
嫌がる腰を無理に押さえて荒々しくピストンをくり返す。腰骨ががつがつ当たるのも構わずわざと濡れた音を響かせる為に。
先程放った精がぐちゅぐちゅと耳をくすぐる 濃い匂いが自分の物なのに何だか妙に興奮した
ふと見てみたくなってぐるりと腰を回した後、彼の尻を左右に開きつつ半ば手前までゆっくりと抜いた
彼がそれに気が付いて暴れたが、ミロの尖らせた爪を壁に押しつけて囁いてやる。
「糸が引いている… 丸見えだ」
痛みを与えるぐらいに彼の凶器の片手を握りしめる。ミロのもう片方の手は先程の“手合わせ”で使い物にならない。
彼が痛みと屈辱に痛いぐらいの視線を寄こす。僅かに紫に濡れた瞳 それが堪らない
自由になる手でゆっくりと粟立つ精をなぞって遊んだ
濡れた自分の下生えから幹を辿って彼の入り口をくすぐる。ミロが悔しそうに呻く
構わずにそっと入り口を触れながらその下…とわたりと呼ばれる場所を猫の喉を撫でるように愛撫して
「うぐっ…、…ぅ、ぅウ、?……ッガ、…」
滑らかな双玉を撫で回した。



ミロが苦しそうに頭をふってビクリと痙攣を始めたのに訝しんだが、膨らみの上を辿って俺は驚きに目を開く
そっと根本から触ってみれば、…微かにだが彼が持ち上がっていた

「……止めろッ」

無視してそっと握り込んでみる。柔らかいけれどそれは確かに

「感じて、るな…」
「触、るなァ…!!」

ミロが狂ったように抵抗したが、壁に押しつけ根本まで貫いて黙らせた。そう、彼が反応している!あのミロが!
高笑いが出そうになった。萎えないようにいやらしく嬲りながら自分も楽しんだ。
そう、あのミロが。
あれからどんなに犯してもまったく反応を見せなかった頑なだった彼が。

―――――今、俺に貫かれて…感じている?
―――――俺に犯されて、悦くなっている??

腰使いが段々と激しさを増していった。ミロが堪らない声を上げる。それは悲鳴に近い声で―――雄の衝動が煽られる。
堪らない。無心で引き絞る内臓を荒らし回って快楽を追った

「…は、ミロッ いいぜ、悦くなっちまえ!ほら、感じているんだろ!?ここ、分かるかァ」

緩やかに勃起した彼の亀頭を撫で回せば、遂にミロが涙を零してひいひい泣いた
だが、押さえつけていた手を離せば ミロは震えながら嬲る手を解こうと躍起になる


―――――なぁお前はそんなに俺が嫌か?
そんなに俺相手は嫌か。アイオリアは良いのに?
そうか、そんなに嫌なのかよ…


歯を食いしばってリズミカルに腰を叩き付けた。
ヌル付く彼に指を絡めて絶頂を促す。
締め付けが良い、苦しい胸の痛みを置いたまま意識が陶酔に呑まれかけた時だった

「アッ、ングゥ―――――――――――ッ!!!!」

ミロがひときわ体を強く痙攣させた。その震えに持って行かれつつも傾く体に驚く
激しい蠕動に煽られて、放ちながらも彼を咄嗟に抱えた。
自身がまだ快感に陶然としながらも荒い息でミロの顔を覗き込む

「っ…ぃ…、……ミロ…?」

瞳は閉じられていた。手を前に回してみれば彼は僅かに精を放っていて。
ニヤリと頬が上がるのを押さえられない
ミロを遂に陥落できた?
分からないが、彼が欲望に濡れたのだという感触に…黒い歓びに包まれた。




――――――そう もう、もどれやしないのなら

―――――――――堕ちて身が砕ける瞬間まで、彼に触れていようと思う。




(それは、罪だ。悪だ。とうてい許されやしない行為だろう
だから、どうか罰を。欲に濡れたこの浅ましい男に天罰を…どうか今一度…)


もう、自分では止められない。
終わりはいつ来る? それが早ければいい 遅ければいい もうどちらが望みかも分からない。
ただ彼とまぐわう事を最優先に身を取り繕った。
ミロは何も言わない。
執務中にすれ違っても、颯爽とさえ言えるほどの態度で何事も無かったかのように振る舞うのだ
衆目が在るとき等は特に。彼は身の振る舞いを徹底して前と同じにして見せた。
それに苛立ち、俺は彼に何度も何度も誘いをかける
獣じみた欲望を、鍛錬だと偽っては手合わせをし 力で組み伏せ、蹂躙して歓んだ。
そんな時の彼は 回りに助けも、自分に憎悪も、何も語らず唇を噛みしめていた
もう、憎しみでさえも向けて貰えないのだろうか。
絶望を感じて、更に彼を酷い目に合わせていた。自分は一体何がしたかったのだろう。



その後、ミロは貪る度に抵抗するのだけれど。
彼は快楽を感じ始めると、その時だけ泣いて許しを求める。
名を呼べと言えば、泣きながら俺の名を呼んで許しを
そして僅かな精を吐き出す頃には決まって彼は気を失うようになった












目の色が僅かに紫に濡れた時



そしてこの話の一番最初に戻ります。いた〜いって感じかしら(笑)さ、雨降って地固まる
この膠着状態を展開させるといたしますか!!
泣いて許しを求めるミロ …それは何故??そして男なのに吐精の際に気を失う
建物の影からの視線って? そしてこの場所…"巨蟹宮の裏”