Side カノン 満たされる瞬間






第一印象は強烈だった。
あの痛み、あの苦痛。真っ赤な血
そして射抜くような眼差し。
どこまでも戦士であったあの男は苦痛に怯まぬ俺に共に戦うことを許した
それがどんなに嬉しかったか。
ともにありたいという願いはすぐに叶ったが、そこにいたのは空っぽになったあいつだった
俺はそんなお前を望んではいない。

獣のような情交を何度も何度もくり返した
嘘のようなからっぽの笑顔に苛立って引き倒し屈服させて叩き落とす
睨み付ける瞳にゾクゾクとした たまらないその表情
見つめながら無理矢理犯すのがクセになった
最初は引き裂くように
最近は丁寧に丁寧にゆっくりと。

その瞳が怒りを滲ませたまま、潤み 焦点を失い俺を見つめて涙を流す様に思わず見とれてしまう。
切なくて愛しくて、甘酸っぱいようなそんな気持ちが身体いっぱいに湧き上がる。
柔らかくうねる身体 まるで処女のような反応をしていたのはいつの日のことか
そして何かに飲み込まれた精神は“素直なミロ”を作り出してくれる
それに俺はとびきり優しい声で俺の名をねだる 極上の快楽を餌にして。

満たされるのはいつもその一瞬だけ

この馬鹿げた関係をいつまで続けるのか、と自嘲してみても終わりは見えなかった
らしくない この執着は行き着く場所に届きはしないというのに。
戯れが終わるとミロはいつの間にか姿を消した
そして次の日には何もなかったかのようにそっけない態度で俺に接する
まるで風のように掴み所のない感覚
それが、あいつだった。

…けれど一つだけ分かっている事がある
単純に見せてその複雑な深淵はぬぐえない血糊で塗れているのだろう?
匂いで分かる
お前にはあの兄と同じ匂いがかすかにするのだから。

今度はしくじらない

のがさない

どんなに嫌われようと 憎まれようとも。



俺は、お前と共にあるのだから。








サガとミロの共通点。



…実に痛そうな始まり。各章の頭にメインの人物の独白を入れてく予定なのでまずはノンタンです。
…ここに結構ヒントがある?