Trick or treat



昔、ずる賢い男ジャックは悪魔と取引を。
ハロウィーンの夜 悪魔を騙して、出し抜いて
でも、悪事をはたらいていたジャックは天国にも行けず
また、悪魔と契約をした為地獄にも行けず

現世をさ迷うJack O' Lantern
その灯火に惹かれて 何時しか幽霊達が寄り添った





Jack O' Lantern










「ハロウィンって?」



皮肉気に従者を見やったカノンはくりぬかれたカボチャを何となく眺めた
子供のお祭りですよ、と従者は言う
良いですか?これを被ってけして素顔は見せませんように、とも。
その言葉にドロドロとした感情がボコリと吹き上がるのを、眉を僅かに顰めただけにとどめて この仮装で何をするのかとカノンは聞いた。従者は繕ったマントをカノンにふわりと被せて微笑む

「トリックオアトリート お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ、とお菓子を強請るんですよ」

それはいいね、とカノンは笑うとカボチャを被ってするりと外へ。
従者が出ていくカノンにもう一度言った

「けして素顔を晒してはなりませんよ!」

ああ、分かっているよとカノンは笑った。
こんな事聖域が許すわけ無いのだ
きっと彼なりの思いやりなのを悟ってカノンは外へと身を躍らせる。
それはまるで踊るように、当てのない世界をさ迷う 寂しいカボチャのお化けのように。



夜の自由を満喫する
誰もいない世界をカノンは軽やかに駆け回る
闇に身を浸してマントを翻し 草を蹴って 手を思い切り伸ばして 空気を沢山吸い込んで。
規律も 戒律も 自分を縛るものは存在しない一時の世界を

「時よ止まれ!」

それはまるでハロウィンの夜にだけ許された悪魔達の特権のよう
ひとしきり駆け回り 気の向くままに声をあげたり 笑ったり まるでお化けのようにおどけてみたり
だけれど従者が進めたように菓子をねだりになど行く気は微塵も無かった
一時の自由
ただ自分が今自由であると言うことを感じるだけで良かった


その自由は 誰かに会えば 色褪せてしまうような予感がしたから
その自由は 誰かと比べれば 惨めに感じるだろう事が容易に想像できたから



だから闇の支配するこの時間を 思うがままに駆けめぐる

(今 俺は自由 何のしがらみもない)

心のままに ステップを 月とダンスを 風とワルツを


自由と孤独はぴったりとくっついている
それを無意識には感じていたのだけれど




「こんばんわぁ」



その時だった、その心の静寂を破る存在が一匹
気ままなカボチャのランタンに誘われてか、小さな幽霊が声をかけてきた

(……コイツ…?)

最初はギクリと体を強ばらせる
それから相手を無言で観察 ウロウロウロウロ まるでカボチャのお化けのように


見たことがある子供 それは聖域で大事に大事にされている宝物の子供

ぼこり…ドロドロの液体が熱を持って泡を出す

サガと同じ存在の子供

ぼこり ぼこり コールタールのような液体が…

サガも大事にしている子供

ぐらぐら煮える。

自分がなれなかった存在と同じイキモノ

ぐつぐつ… ぐつぐつ…


「トリック オア トリート」


口の端が上がった 月が赤く見えた 狂喜が身を包む
はぐれた幽霊 菓子など持っていないのは分かっていた きっと何も知らないだろう子供


汚されたとサガが知ったら 苦しむだろうと思った


奴が知れば いいなと思った。



「菓子をくれなきゃ 悪戯するぜ?」


逃げろ 逃げろ 逃げなきゃ 喰うぞ?
だけれど無知な子供はにぱっと笑って俺を見上げた


「うん」


もう、止まらない。サガの苦しむ顔が想像できてそれが笑えた



「取引しようか」



マントの中に引き寄せる
蠍座のミロは無抵抗で俺に抱き寄せられた

「俺の魂が欲しい?それをやるよ 変わりに…」

最近憶えた手管で 子供を撫でる 無遠慮に 荒く 欲望のままに

「お前の体は 俺のモンだ」


服を引き裂いた 無理矢理押さえつけて指を這わせる
逃げ場が無いようにのし掛かって 無理矢理犯した
















(何でだよ…)



カボチャのお化けは苦い顔 きょとんと見上げる小さなお化けに背筋を寒くさせる
無体を強いた 血だって出ている 抓れば眉を少し顰めるからきっと痛いだろうに…

ミロは無抵抗だった じっと大きな目でカノンを見上げた
貫いても 突き上げても ウン、と少し呻いただけで後はカノンをじっと見上げた

最初は背徳感と狂気に官能が刺激されていたのに、今では背筋を薄ら寒い汗が流れている
高い子供の体温が気持ちいいはずなのに 心の底にザワザワと得体の知れない不安がわきあがる
だがやがて 憶えたばかりの欲望に背中を押されて吐き出しそうに
ただ見上げていた子供がカノンの劣情を感じたのか首に腕を回してきて…


「約束、お前はオレのもの」


カノンの首筋をかぷりと噛んだ

悪寒がせり上がるような快感に身を震わせるカノン
頭を恍惚に焼きながら、心臓を忙しなく高鳴らせながら、ぞくりと心を恐怖に浸す

これは   誰?

まだ見上げる子供は白濁を滴らせながらも 無感情の大きな瞳でカノンを見上げる
それは魔性そのもので。

(ハロウィンの夜はこの世とあの世の堺が曖昧になるのですよ)

従者の言葉が頭に過ぎる

これは 魔物?

ギクリと体を強ばらせて、二歩三歩後ずさる
視線の先には乱暴をした小さな子供 幼い四肢に纏わる服は無惨に裂け 鮮血も出ている
だけれど得体のしれない何かに思えた
恐怖に駆られる
後ろを向いてその場を離れた。

サガを苦しめた達成感や爽快感など微塵も無くて 隠れ家に帰るとすぐにシーツを被った


(アレは、何だったんだろう?)


日が明ける頃 浅い眠りから覚め 首を振る 鏡を見て首筋に手を当てた
うっすら残る小さな噛み痕
でも、考えても分かりはしなくて 結局昨夜のことは悪夢だったと忘れる事に。
ただ、首の噛み痕が夢ではないと告げてはいたのだけれど


翌日サガがピリピリしていた事も、その出来事が原因だと思い至らなかった

カノンには、あの出来事が現実だとどうしても思えなかったから




















「トリックオアトリート …悪戯、するんだろ?」

多少酒の入った蠍座が、深夜に俺にまたがって口づけを
それに寝ぼけつつ 俺はミロにされるがままになった
猫のように笑うミロが 俺の反応しだした物をべろりと舐める
腿に触れる柔らかな髪の感触が、堪らない

「…くそっ、酔っぱらい 早く、乗れ」
「何だよ、これぐらいでもうイキそうなのか?」
「煩い あ、ミロ… やめろって!このッ色魔!!」

形勢逆転 押し倒して 指を性急にねじ込んで 舌で濡らして 3本の指をバラバラに動かす

「ウウ…アウッ」
「お前が、悪いんだぞ! … ちっと、キツイか?」
「平気、入れろ、よ」
「まだ無理だ 今度はお前を良くしてやる」

ミロの好きなように 指をアレのように出し入れしてやるとやがて奴の背から汗が滴る
前を弄れば 乳首がぽつりと立ち上がり 前も物欲しそうにそそり起った
ゆっくりと焦らすように扱いて 亀頭をくちゅくちゅと撫で回す
ミロの腰が揺れる 甘い鳴き声を洩らしはじめた

「好きだな、ココ なぁ 俺の前は誰と遊んでいた?」
「………………」
「フン、初めては水瓶座とかか? … いやらしいしゃぶり方だ 入れるぞ」

後ろからのし掛かってミロを犯した
痺れるような快感に目を瞑る 何度か抜き差ししながら根本まで味わい
ゆっくりと掻き回して しつこいくらいにゆっくりなピストンを
やがてミロが泣き出して求めてくるのを見越した愛撫
本当はメチャクチャに腰を動かしたいのを我慢した、SEXのやり取り

「…憶えて、無い?」

片足を引き上げて ミロの我慢できないような体勢で挑んでいると奴がこちらに視線をよこした
この状態で口を開くなんて珍しい 見せた顔に 掠れた声にそそられて 向かい合って腰を振る
本意じゃ無かったのに すぐに刺激に夢中にさせられた

「何? は、ぁ… 煽るな、よ、ッッ 凄いよ… お前のココ」
「ン〜〜 カノン、いい… は、ぁ… 憶えてないのかよぉ カノン〜〜」





快感に白む直前に、ミロが首に腕を回して首筋を噛んだ
それに甦る記憶のフラッシュバック
驚きと快感がごちゃ混ぜになって痙攣を
ミロの足が腰に巻き付いて その絶妙な加減が最高に良かった

「お前は、俺のモノ あの時の約束 忘れたか?カノン」
「ミ、ロ…」

初めては、お前だろ?
その言葉にいたたまれなさと 驚きと 後悔と 羞恥と 恐怖と 歓喜と 不安と そして快感と。
気が付けばメチャクチャに彼を抱いていた







「…おい、カノン?」
「……………お前、意地が悪い」

ハロウィンの夜が明ける頃 ミロは官能の闇から目を覚ます
ふと隣を見れば枕の下で頭を抱える恋人が
汗にぶるりと体を震わせながらも掠れた声で気遣えばそんな返答 ミロは少し笑った


「そうか?俺は初めてを聞かれたからちゃんと答えただけなのだが…」
「〜〜〜〜〜〜顔、見せなかった よな… あの時」
「分かるだろ 穴からしっかりと見えていた しかも見慣れた人物にそっくりだしな」
「…………………お前、意地が悪い!」
「? お前の方が酷いだろ、あの時俺に散々… しかも、その後逃げ…」
「!!…済まない、言ってくれるな。もう、…勘弁してくれ」


益々凹むカノンに ミロは口づけを
もちろん あの時のように腕をまわして首筋にカプリとやるやり方で
カノンはいたたまれ無さに凹みつつも、ミロの甘い感触に体温をあげた


「取引したな、お前の魂は俺の物だ カノン」

ミロがカノンに嬉しそうに抱きついた

「お前には、本当に負けた」

カノンが情けなくため息をついて、

「でも取引では、お前の体は俺の物…だろ?」

ミロをそう言って押し倒した。
それから朝まで、甘い恋人達の戯れは 激しく情熱的に紡がれた







行き場の無かったカボチャのお化け
この世をさ迷ううちに やがて小さな幽霊と共に夜を楽しく練り歩く






HAPPY HALLOWEEN!












最後はエロく、幸せ風味で! これでやっとはっぴー☆はろうぃん



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