Happy Birthday
ミロv


という事で、小話をサト様に送り付けちゃいました
今回は牛の先生ですv



ムウ「…ミロ誕、ですかぁ」

ムウが興味なさそうに、茶を飲みながら尋ねてきたアルデバランにそう呟いた
貴鬼が実に羨ましそうな視線でケーキを眺める
このアルデバランが持ってきたモンブランを、鬼畜な師は平気な顔で弟子の分までぺろりと平らげたのだ
貴鬼がさっきから涎を飲み込み、ひっきりなしに腹の音を鳴らしているにもかかわらずに。
なのでアルデバランはケーキに手を付けることなく(後で貴鬼にあげようと思い)ムウに話題を振った

牛「女神のお友達がな、カミュとミロの甘い話がお好きのようでな」
ムウ「ふぅ〜〜〜ん、そうなのですか〜〜」(←つまらなそ〜に耳とかほじるムウ)
牛「ムウは何でも器用にこなしそうなので、サガから話をしてくれないかと頼まれてな…」
ムウ「は〜〜そうですか。サガが直接言えばいいのに、わざわざ貴方を通してねぇ〜〜〜」(←嫌味)
牛「何でもほのぼのしたのが良いらしいから、ムウが向いてるんじゃないかと…」
ムウ「私はね、無駄な事はしない いえ、したくありませんので…」
牛「そこを何とか出来ないのか?」
ムウ「う〜〜ん、皆さん勘違いされてるようですね。わたし、ちょっと書こうかな〜と思っていますが」
牛「そ、そうか!」
ムウ「最後まで聞いてくださいね、アルデバラン。私は銭の為になるようなものを書くだけです」
牛「?」
ムウ「つまりですね、売れるようなエロエロのしかも複数にょたい化を考えてる訳でして…」
牛「…………………」(←アルデバラン絶句)
ムウ「ほら、貴鬼も育ち盛りですし?何分入り用でしてね。ン?アルデバラン、食べないのなら頂きますね?」
牛「あ!!」
貴鬼「ああ…!」

(ムウはケーキをぺろりと平らげた)

ムウ「むぐむぐむぐ…なので私には無理ですね。はっ!ほのぼのなんて…」
牛「そ、そうか…」(←しょぼんとした貴鬼を哀れに見やるアルデバラン)
ムウ「いっそのこと、貴方が書いたらどうですか?」
牛「俺か?…おれが文章など」
ムウ「何事もチャレンジです、アルデバラン。では、女神のお友達に贈る話は貴方がお書きになるという事で」
牛「うう〜〜む…やって、みるか…」
ムウ「頑張って下さいね、アルデバラン」
貴鬼「
ぐすっ…が、頑張ってね!牛のオジチャン」




…と言うことでアルデバランはミロ誕小話をせっせと書いてみる事になりました☆
↓以下 或出 庭蘭先生の処女作をサト様にお捧げ致しますv



はっぴーばーすでぃ







「雨、か」

ミロは降り続く雨粒に髪をじっとりと濡らしながら 厚く垂れ込めた雲を見上げた
こんな時にこんな感傷を抱いてしまうのは、先程感じた彼の小宇宙の所為だろうか
少しだけ昔を思い出して瞼を降ろした










「きょはねーミロの誕生日ぃ!」
「……ふぅん?」

何気なくやって来たようなミロに、宝瓶宮で静かに本を読んでいたカミュはそんな気のない返事を寄こしただけだった
雨の降る11月のある日の事 聖域は最近起こったばかりの事件で慌ただしい
ミロの保護者だったサガは消息不明 隣宮のアイオロスは謀反を起こし同じく消息不明
その弟でミロの一番の友人アイオリアは微妙な立場 付き合いの長いムウも何かを考え込む事が多くなった
今では年上になった3人は力を合わせサガとアイオロスの代わりを務めることに必死
シャカは瞑想に耽り アルデバランは隣宮の元気のないムウに気を使っていた
だから、何となく人恋しくてカミュの元を訪れたミロ だけれどカミュは悲しいくらいに素っ気なかった
悲しい誕生日には 空まで泣いている。
今日は朝から雨で ミロは一緒に泣きたい気持ちになったけれどぐっと堪えてカミュに飴をひとつ落とした
水色のシマシマの包みのキャンディはカミュの本の上をバウンドして膝小僧のうえにぽとんと落ちた

「…これ、何?」
「たんじょび、アメ あげるの。サガ言ってた」

自分で言って悲しくなった。去年の誕生日はどうだったろう?
サガが、ロスが、みんなが優しく自分におめでとうを言ってくれたように思う
でも、ミロはカミュに精一杯はにかんで笑った

「こえ、おいしぃーの カミュにあげるね!」

くるっと振り返って階段を駆け下りようとしたときだった
カミュがミロの服の裾を引っ張って引き止めた

「…まって」
「カミュゥ?」

ミロの髪も服もびしょびしょだった
びしょ濡れになってまでわざわざ自宮まで来たミロ 特別な日に自分の所へ来てくれた事
それらがホントは嬉しかったけど、なんだか喜ぶのが恥ずかしくてカミュは本に目を落としていた
宮の外はきっとミロには冷たい雨の雫 ミロに触れる雨粒にちょこっと嫉妬してカミュは服を引っ張ったのだ

「プレゼント」
「えー?」

不思議な顔でカミュを見つめるミロの視界にふわりと柔らかなものが
カミュがミロの手を取り階段をゆっくりと降りる

ふわり ふわり 真っ白な雪が 二人の世界に降りそそぐ

「うさぎさんのふわふわ!」
「…雪だよ、ミロ」
「とりさんのぉ、ふわふわ!」
「…だ、だから雪だってば、ミロ…」

ミロが嬉しそうにはしゃぎ回るのを カミュはちょこっと照れくさそうに眺めた
真っ直ぐに 手をいっぱいに天に広げるミロに カミュの心は溶かされて

「はっぴーばーすでぃ ミロ」

ずっと言いたかった言葉を口に出来ていた。
嬉しそうにミロが微笑む

「ずっと ずっとぉ 今日ね、わすれない! あんがとぉカミュ」

くるくるひとしきり回ったミロが カミュの手に握られたシマシマのキャンディの包みをほどいてカミュの口に放り込んだ。
そしておでこにそっと口づけを
それはミロにしてみれば良くサガにされていた行為を真似しただけのものだったけど
それはカミュにも忘れられない出来事になった


その後濡れた上に雪でしっかりと凍えたミロは大熱を出すのだが
その隣にはカミュがこっそりと忍んで 二人で優しい一時を過ごした











「ミロ?」

ムウの声に意識を戻されたミロはけぶる睫毛を重そうに開いて皆を見た
減った 黄金の同士を一瞥し気を引き締め直す

「何でもない。リア、老師の指示だ 今はここの守護に当たろう」
「そうだな、ここは彼らにひとまず任せるしかあるまい」

ミロ、シャカの言葉に渋々と悋気を押さえたアイオリア
ムウはため息 アルデバランもそんなムウを宥めながら自宮へと向かった





聖戦まで、もう少し。
雨に濡れて 幸せを感じた刹那の瞬間













えへ☆お分かりになったでしょうか。
時期はポセイドン編の黄金5人がもめてた、あの雨のシーンです。
飛び立つ聖衣を見ながら彼らはどんな気持ちだったのでしょうか?
こんなモノでスミマセンでしたv



ムウ「貴方、本当に子供…好きですね …貴鬼、彼の所に容易に遊びに行ってはなりませんよ」アルデバラン「ムウ!?」