Happy Birthday
ミロv
という事で、小話をサト様に送り付けちゃいました
今回は牛の先生ですv
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はっぴーばーすでぃ 「雨、か」 ミロは降り続く雨粒に髪をじっとりと濡らしながら 厚く垂れ込めた雲を見上げた こんな時にこんな感傷を抱いてしまうのは、先程感じた彼の小宇宙の所為だろうか 少しだけ昔を思い出して瞼を降ろした 「きょはねーミロの誕生日ぃ!」 「……ふぅん?」 何気なくやって来たようなミロに、宝瓶宮で静かに本を読んでいたカミュはそんな気のない返事を寄こしただけだった 雨の降る11月のある日の事 聖域は最近起こったばかりの事件で慌ただしい ミロの保護者だったサガは消息不明 隣宮のアイオロスは謀反を起こし同じく消息不明 その弟でミロの一番の友人アイオリアは微妙な立場 付き合いの長いムウも何かを考え込む事が多くなった 今では年上になった3人は力を合わせサガとアイオロスの代わりを務めることに必死 シャカは瞑想に耽り アルデバランは隣宮の元気のないムウに気を使っていた だから、何となく人恋しくてカミュの元を訪れたミロ だけれどカミュは悲しいくらいに素っ気なかった 悲しい誕生日には 空まで泣いている。 今日は朝から雨で ミロは一緒に泣きたい気持ちになったけれどぐっと堪えてカミュに飴をひとつ落とした 水色のシマシマの包みのキャンディはカミュの本の上をバウンドして膝小僧のうえにぽとんと落ちた 「…これ、何?」 「たんじょび、アメ あげるの。サガ言ってた」 自分で言って悲しくなった。去年の誕生日はどうだったろう? サガが、ロスが、みんなが優しく自分におめでとうを言ってくれたように思う でも、ミロはカミュに精一杯はにかんで笑った 「こえ、おいしぃーの カミュにあげるね!」 くるっと振り返って階段を駆け下りようとしたときだった カミュがミロの服の裾を引っ張って引き止めた 「…まって」 「カミュゥ?」 ミロの髪も服もびしょびしょだった びしょ濡れになってまでわざわざ自宮まで来たミロ 特別な日に自分の所へ来てくれた事 それらがホントは嬉しかったけど、なんだか喜ぶのが恥ずかしくてカミュは本に目を落としていた 宮の外はきっとミロには冷たい雨の雫 ミロに触れる雨粒にちょこっと嫉妬してカミュは服を引っ張ったのだ 「プレゼント」 「えー?」 不思議な顔でカミュを見つめるミロの視界にふわりと柔らかなものが カミュがミロの手を取り階段をゆっくりと降りる ふわり ふわり 真っ白な雪が 二人の世界に降りそそぐ 「うさぎさんのふわふわ!」 「…雪だよ、ミロ」 「とりさんのぉ、ふわふわ!」 「…だ、だから雪だってば、ミロ…」 ミロが嬉しそうにはしゃぎ回るのを カミュはちょこっと照れくさそうに眺めた 真っ直ぐに 手をいっぱいに天に広げるミロに カミュの心は溶かされて 「はっぴーばーすでぃ ミロ」 ずっと言いたかった言葉を口に出来ていた。 嬉しそうにミロが微笑む 「ずっと ずっとぉ 今日ね、わすれない! あんがとぉカミュ」 くるくるひとしきり回ったミロが カミュの手に握られたシマシマのキャンディの包みをほどいてカミュの口に放り込んだ。 そしておでこにそっと口づけを それはミロにしてみれば良くサガにされていた行為を真似しただけのものだったけど それはカミュにも忘れられない出来事になった その後濡れた上に雪でしっかりと凍えたミロは大熱を出すのだが その隣にはカミュがこっそりと忍んで 二人で優しい一時を過ごした 「ミロ?」 ムウの声に意識を戻されたミロはけぶる睫毛を重そうに開いて皆を見た 減った 黄金の同士を一瞥し気を引き締め直す 「何でもない。リア、老師の指示だ 今はここの守護に当たろう」 「そうだな、ここは彼らにひとまず任せるしかあるまい」 ミロ、シャカの言葉に渋々と悋気を押さえたアイオリア ムウはため息 アルデバランもそんなムウを宥めながら自宮へと向かった 聖戦まで、もう少し。 雨に濡れて 幸せを感じた刹那の瞬間 |
えへ☆お分かりになったでしょうか。
時期はポセイドン編の黄金5人がもめてた、あの雨のシーンです。
飛び立つ聖衣を見ながら彼らはどんな気持ちだったのでしょうか?
こんなモノでスミマセンでしたv