聖域骨董伊太飯店 〜ペット、拾いました〜 |
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クリスマスの音楽が鳴り、華やかな電飾で飾り付けられたイブの夜 誰もがため息を零すようなレストランの前で、不意に青年が腹を鳴らした。 「そうか、クリスマスなのだな」 青年は飛びはねまくったモフモフの髪に、ビン底のような厚い眼鏡 服装はやぼったく、なんとな〜く薄汚れているようだ。 顔は長いロングマフラーがぐるぐる巻きにまかれ分からない 手には難解な数学のぶ厚い本が。 青年にとってこの本は聖職者の聖書のように大事な物だった そう、この本があれば食事だって住む所だっていらない。 青年はさっき住んでたアパートを追い出されたばかりだった でもそれすらもどうでも良い事で。 そんな彼は幾何学の美しい数学の世界に浸る内にいつの間にか繁華街に来ていたよう 不意に内なる世界から戻ると鼻をかすめた美味しそうな料理の匂いと品の良いレストランの華やかな景色に目を奪われていた 「君、入るかい?」 そんな時に声をかけてきたのは一見すると泣きぼくろの麗しい絶世の美女(実は男だが)の店員で 「キャンセルが入ってね、良かったら食べていくかい?」 つい目の前を美味しそうなケーキが運ばれるのを目にしてしまったら コクン 「そうか、君は付いてるね!ウチは予約半年待ちの店なんだぞ?楽しんで行きたまえ」 頷いてしまうのも無理無い事かもしれなかった。 *** 「んで、店の備品破壊と無銭飲食の落とし前どーしてくれるんだ?」 ウエイター服に身を包んだ男前が凄んで青年を見下ろした それを泣きぼくろの美女…もとい美青年、アフロディーテが困ったように嗜める 「やめなよデスマスク、備品壊したのはワザとじゃ無いって言ってるし…お、お金だって持ってたんだよね?」 コクン 青年は困り果てながら頷いた。 そう、ここでの食事代ぐらいはちゃんと持ってはいたのだ。それが全財産だったのだし だけれどいざお会計となりサイフを取り出そうとしたらサイフはいつの間にか消えていて しかも焦ってその辺を探し回った所、店に配置されていた家具にぶつかり さらにその上に乗っていた馬鹿でかい、これまた金額も馬鹿でかい花瓶を落として割ってしまった 店も閉店間際で大騒ぎにはならなかったものの、閉店後こうして対処を決めあぐねている所なのだ 「家に帰れば…食事代くらいは払えるんだろう?それで許してはやれないかデスマスク」 鋭い目つきの割りに人の良いウエイターの男、シュラは店長であるデスマスクにそう相談したのだが… ふるふるふるっ 青年がその言葉に首を横に振ったので、シュラは固まりつつも問いかけた 「家に、金が無いのか?」シュラ ふるふるふるっ 「お金はあるけど払いたくない?」アフロディーテ ふるふるふるっっ 「おいおい…もしかして、家がねぇとか 言うなよな?」デスマスク こくこくこくっっっ 一同絶句 何も言えぬ3人は思わず外を眺めた。 良く磨かれたガラスの外は音もなく粉雪が舞いだしている ホワイトクリスマスという奴だ その時青年が何かを躊躇い、そして思い切って本を差し出した。これを代わりに、という感じで それは食事の時も大事そうに抱えていたぶ厚い本。 そう、彼はこの食事代(+花瓶代とも思っているのかも知れない)を本で払おうと思ったのだ だけれどどんなに青年には崇高な宝でも 「おまえなァ〜〜まさかその本でコレをチャラにしろとか言ってンのか??」 世間一般ではゴミクズ同然の価値なのかも知れない。 とりあえずここにいた人間にはそう写ったようだ 「チッ話になりゃしねぇ…警察に突き出すか。」 「可哀想じゃないか、彼は文無しで家無しでこのクリスマスをムショで過ごすことになるんだぞ」 「…この子では、留置所一晩でも酷いことになる。惨い」 その時だった 身なりの良い男が粉雪を纏って店の中に入ってきた。この店の社長でもあるサガだ 「どうしたのかな?」 サガはアルパカベイビーのマフラーに上品なスウェードの手袋を脱いで彼らに問いかける 最上級のカシミヤのコートを脱げば、モデルが裸足で逃げ出すような身のこなしでそこに立った 「……………成る程」 長い艶やかな髪をはらりと払って、事情を聞いたサガはしばし思案した後にっこり笑ってこう言った 「ならば体で払ってもらおうかな 昼はここでバイトを 夜には私のベットの中でね」 そこにいたサガ以外、全員がその言葉に凍り付いた。 *** 「ちょ、ちょっとどういうつもりなのサガーッ」 あまりにも非道な条件にサガに噛みついたのはアフロディーテ 彼は青年を店に招いた責も感じていたので尚更サガに考え直しをせまった 「あんないたいけそうな子を!サガらしくないよ!!」アフロディーテ 「そうかな?」 「……サガ、食事代を払わせるのに昼働かせ、夜も…その……仕事、とは ぼったくり過ぎ、なのでは…?」 「フフフ、シュラ あの花瓶が幾らすると?」 そう言ってサガは赤ワインをゆっくりとグラスの中で遊ばせた 今彼らがいるのは店の二階にある事務所。豪華な内装はサガの雰囲気にも、店の羽振りにも相応しいもの 実はこのビル自体がサガの持ち物。彼は手広く仕事をしているが、このレストランは思い入れが深いようだ 故にサガ自身もこの上に住んでいる。そして件の青年は今、サガの豪華な寝室にいる 「準備するように言ってきた!奴ぁ真っ青だったぜ、サガ」 「ご苦労、デスマスク」 「ちょっと準備って何!」遂に怒り出したアフロディーテ 「ンなモン決まってるだろ?浣腸渡してキレイにしとけっつったんだよ!」 「デ、デスマスク…」渋面で唸るシュラ 「で、サガのはすげぇでかいから切れるだろうし明日はきっと歩けないぜ〜って脅しておいた!」 悪びれる様子もないサガとデスマスクに胃を重くする二人 そんな様子を眺めた件の二人は大笑い。そして渋面の2人に説明を始めた 「あのな〜お前ら。本当にサガがあの小僧をどうにかするワケ無いだろが」 シュラ&アフロディーテ「「え?」」 「クク…お前達、私を何だと思っている?私は男の趣味は無いよ 経験が無いと言えば嘘になるけれどね」 私は女性を好むし、男なら飛び切り美しい者でないと無理だ。とサガが続けて笑った それに ならば何故 という未だ分からない顔を見合わせる2人に聡いデスマスクがかみ砕いて説明をする 「いいか?まずあの小僧は文無しだ。飯代が返ってくる可能性は低いよな」 「家も無いらしいからな…」シュラ 「お財布、でも本当に無くしたっぽいよ?あれ、演技じゃ無いよ?」アフロディーテ 「ま、スられたか落としたかは知らねぇが。じゃ、警察に付きだした場合を考えてみろ」 シュラ&アフロ「「??」」 「まず、アフロが言ったとおり奴は『払う気があった』と言うだろう。この場合、色々めんどくさい流れになるんだよ」 シュラ&アフロ「「???? 何が???」」 「警察も立件するかしないかで色々調べるし、こっちも事情聴取とかめんどいだろ?で、一文の得にもなりゃしない」 シュラ「…だからといって、働かせるのか?」 アフロディーテ「しかも!酷い仕事を強要なんて」 そこでサガが爆笑した。デスマスクも怒る二人を見てクックッと笑う 「お前ら馬鹿だな〜 んな訳あるかよ。て〜か、その方が金かかりすぎだろ」 「「??」」 「いいか?じゃ、奴を働かせたとする。住む場所は?賃金は?ただ働きなんて今時無理だろ?」 アフロ「でも、壊した花瓶代を払わせるって名目で…」 「あのな、アフロディーテ 保険って何の為にあるかしってっか?」 シュラ「…!成る程」 「あの部屋とこっち、出口はあっちだろ?で、モチロン鍵なんてかけちゃいないのさ」 アフロ「…な、なんだ そういう事」 「彼には少々肝を冷やしてもらって、お帰り願うのが一番なのだよ。分かったかい二人とも」 それから彼らは、事務所でささやかなクリスマスパーティーを。 極上のワインを開け、デスマスクが密かに用意していた美味な食事を堪能し、祝いの言葉を述べ やがて皆は帰路に付く 外は粉雪が満遍なくまぶされて、砂糖菓子のようになった頃 サガは、すっかり忘れていた予想外の展開に内心頭を抱えたのであった *** 「…………………君?」 「あ、あの……はい。キレイに しました。」 サガがほろ酔い加減で部屋にはいると、そこにはビン底眼鏡の青年が。 サガは暫くその光景に呆然と佇んだ数分後、やっとの思いでかけた言葉がコレだった そう、彼はあれから数時間 逃げるという思考が無かったのだろうか、ずっとそこで待ってたらしい 青い顔でシルクのシーツが敷き詰められたキングサイズのベッドの上で所在なさ気に俯いていた 心なしか顔は青ざめ、手には何やらぶ厚い本が。マフラーで顔は良く分からない が、 サガは心の中で 薄汚れた青びょうたんを抱く趣味など私には無い!と絶叫した なので、どう脅して逃げて貰おうか考える。とにかくゆっくり身を休めたい サガは取り敢えずシャツのボタンを外した それに青年がビクリと反応する。それに益々ため息を吐きたくなったサガであった。 「君、男は初めてか?」 「は、はい」 「…初めてでは、少し気の毒な事になってしまうね。私のはかなり人より大きくてね」 「…………………ッ」 「それに強いほうでもあるかな?君にかなり無理を強いるだろう」 「……………………」 サガは青ざめる青年に、内心ホッとしながら『ほら、サッサと逃げてしまえ!』と呟いた だが、世の中の思い通りに行かない事の多い事といったら 「か、か、覚悟は ししししました」 「…………………(サガしばし絶句)…………いいのかな?」 「はい」 「ではなくて、本当にいいのか?あの花瓶が幾らするか分かっているかい?君は一年以上ただ働き!」 「はい」 シュン…と萎縮する青年にサガはかなり焦って言葉を紡ぐ 「しかも!昼も、夜も!私は性欲が旺盛、毎夜君に酷いことをするだろう。それも一年中、365日毎夜!」 「それで、お詫び できるなら」 「(…何ィ??)し、しかもだ!私はどうやら嗜虐思考があるようで、殴ったり、熱い油をかけたり、人のいる所で露出を強要したりっっ!」 その時だった 青年が鼻をすすってぐずぐず泣き出した。ビン底眼鏡の下から滝涙が流れ落ちている サガは心で『そうだ!泣きを入れてとっとと帰ってくれ』と絶叫した。だけれど 「はい ぅ、ぅぅ お、俺にはそれしか出来そうに、 うう〜っ無いですし…」 どうやらしっかと腹を括られてしまったようである。 サガは表情を無くしながら、ピッと風呂場を指さした 「…ならば、まずは隅々まで綺麗に洗いまくるのだ。頭のてっぺんから足のつま先までな」 サガも違う意味で腹を括った。 モチロン新たな従業員を雇うつもりも、まったくもって好ましく無い性奴を飼うつもりも微塵もありはしなかった つまり、実力行使でNOと言わせてみせる そんな腹の括り方で。 *** 「あ、あの…」 「洗ったかね?」 「は、い…」 「隅々まで、全部?洗い残しなどまったく有りはしないか?どこもかしこも?」 「はは、は、はい!たぶんっ いえ、もう一度洗いますっっ」 湯気の立つ、上品な紫で統一されたシャワールームに見事な体躯の男が立つ 長い事シャワーを浴びていた青年の後ろ、サガはシャワールームに裸で乱入し彼にプレッシャーを与えた サガの麗しいと良く表現されるその顔は微妙に引きつっているが青年にはまったく分からない まぁ、それが微妙な差違であるからというのもあるが…青年のビン底眼鏡が曇っていたので物理的に。 青年は眼鏡のままもう一度シャワーを頭からかぶりやたらめったらシャンプーを振りかけて泡まみれになった それをサガが腕を組みながら暫く眺める (……体は、中々なのだな…) 雰囲気から青びょうたんの様な、なよなよした躰を想像していたサガは、もこもこに着ぶくれていた青年の体躯の良さに少々驚いた 一心不乱に頭を泡立てる青年の体は、見事に引き締まっていて サガは青年を脅す算段を忘れてしばし彼の裸体に魅入っていた。 (体は、中々…好みかも知れない) 肌には染みひとつ無い 泡から覗くブロンドは先程見た時よりも洗われている為か綺麗に透き通っている 体毛は薄いようだ。それが少し残念か?等と考えてサガはハッと我に気付く そうだ自分はこの臆病そうな青年をビビらせて、泣きを入れさせて、さっさと追い出そうとしているのではないか! 目を瞑ってもう一度腹を決め、いつも女性相手に演じる悪い男のような振る舞いで指先をそっと伸ばした 「ひうっっっ」 「感じ、やすいんだね…」 背骨をゆっくりとなぞって、泡だらけの耳元にそっと声をかける。彼はピタッと固まった サガは心の中で祈った。どうかこの指が下に行く前に彼が『勘弁してくれ』と言うことを 「男は初めてらしいが…もしかして男同士に興味があったのかな?…ぶわっ」 「ああっスミマセン」 問いかけに青年がおもいっきし首を振ったので泡がサガの顔面を直撃した サガはそれに面食らいつつ、雰囲気ぶち壊しも気にせず、ほ〜っと心でため息を。 もしかして自分の容姿なら抱かれた方が良い、とか思われていたら適わなかったのでよっしゃ!と思ったのだ 嫌がらせが相手を喜ばせている可能性があった場合、サガの苦労は正に水の泡なのだし とりあえず青年の差し出すシャワーで顔面の泡を落とすと、彼の腕を取って抱き寄せた 早くビビって帰ってくれないものか 「男同士が嫌なら何故逃げない?逃げるなら今の内だぞ?…私は始めれば容赦はしない質だ」 「…………でも、悪いことをしたのならば償いたい」 「(………この男白痴か?)他の事で償おうとは?私は抱くのならば泣こうが喚こうが容赦はしない」 サガは もしや彼に嘗められているのか? とも思い、脅しながら青年の身体に指を這わす 腰をゆっくりと撫でて、筋肉質な尻を掴んだ。片手で、乳首をぎゅっと抓ると青年が酸素を求めるように口をパクパクさせる どうやらしっかりとビビってくれているらしいのだが。 早く臨界点を迎えてくれ〜とサガはしたくもないセクハラのような行為を続けた。 「美味しそうな尻だ」 「あうあうあうあうっっ」 ホモは確かこうやって男を誘ったか、と自身が昔されたセクハラを思いながら彼を愛撫するサガ でも青年は本当に怯えているのだけれど、悲しいかな 中々ギブアップに達してくれない 触れるとガタガタと震えだし、怯えた様子で縮こまる。まるで生娘そのものだった(ある意味間違ってはいないのか。) ただ震えるばかりで甘い空気は微塵も無い。さっきから悲鳴を押し殺そうと口を真一文字にも引き結んでいる これは演技ではない。まったく男はダメそうだ。なのにコレは…これは困った。 逆に良い反応を返すものだから自分の方が面白くなってきている始末。 (…いかん、落ち着け自分よ。私の美意識はこんなに低い物ではないだろう?) サガがそんな葛藤をしていると、青年がグラリと身を崩しそうに 足下を見てみれば、青年は崩れ落ちそうなぐらい足を震わせている 不意に転びそうになった青年をサガが支えた それがタイルに押しつけるような形になる サガは気の毒なぐらい青ざめた青年に囁いた 「何故逃げない?今なら許してやる ここを出て、今夜の事など忘れてしまえばいい」 もう、ここまで脅したのなら良いではないか。彼にも良い薬になったのでは? サガはここいらで手を打つことに決めた。 もうこれ以上やれば正真正銘自分が悪人だ。逆に訴えられるのはこちらになりかねない でも、確かに自分達もやりすぎたが、逃げぬ彼も悪いのだぞ? そんな思いでサガは本音を彼に告げる。 もういい こんな茶番はお終いにしたい サガはじっと青年を見下ろした。 青年は曇った厚い眼鏡の奥からサガを真っ直ぐに見据え 泡だらけのまま、しどろもどろに だけれどサガに必死になって言葉を告げた 「俺は、何にもできないから。何をやっても、ダメだし… 何も知らない、馬鹿だし」 「……………」 「だから… 俺で出来ることならば…出来るか、分からないけど。でも、一生懸命したいんです」 「……………………」 サガは青年がガタガタ震えながらそんな事を告げるものだから不意に心が熱くなってしまった 今時、というか…全時代的に珍しい思考だな とも考える そして、そんな考えではのたれ死にだぞ!とも。 そう言えばデスマスクの話では彼はのたれ死にの一歩手前のような状態では無かったろうか? …いや、だからといってほだされても。しかもほだされた場合、自分は彼に酷いことをしなくてはならなくなるのでは? 彼のこのような決意を聞いた後で、今までの事は冗談だ等と言ったら本気で悪い気がしてきた律儀なサガは狼狽えた だけれど相手は待ってはくれなくて。 もしかして彼らのタイミングの相性は最悪だったのかも知れない 「ど、どうしたら良い… えと、触ったりくっついたりするのだろうか?」 青年は変な方向に努力を始め、泡のまみれた体でサガにぺたっとくっついた それにサガは絶句し、思考が飛ぶ。この状況をどう打開しようか答えが見えてこないのだ いったいどうしたら良いかと考えが堂々巡りをするうちに、体は次第に反応を 石鹸まみれの温かな皮膚は、男盛りな肉体を刺激する。たとえそれが好みで無くとも (まてっ…私は何故このような事に?何とかしなければ…何とか…!!そ、そうか) シモが半起ちになりつつもサガは『そうだクレームだ!』とひとつの活路を見いだした。 青年には悪いが、クレームを付けてお引き取り願えば良いのだ。と閃いたのだ 普通、男同士なら肉体的な事を言えば良いのだが(ネコの男はアレのサイズにウルサイと聞く) いかんせんこの状況では無理がある。(もう彼の身体は眺めまくった後なのだ)しかも自分はネコ的状況では無いのだし。 なのでサガは彼を見て閃いた、彼にはまだ隠されたベールがある! そう、このぶ厚い眼鏡。自分はまだ彼の顔を見てはいないではないか! そうだ、大抵こんな眼鏡を外せばぶ男登場。小さな目とバランスの悪い顔! 自分のシモもそれで一気に萎えるだろう そして好みでなかった、と彼に謝りこの場は逃れてしまおうとサガは考える 自分は良く博愛主義のように勘違いされる事が多いのだが、その実は己の美意識によるものが大きい事をサガは良く知っていた だから気の毒ではあるけれど、サガはその方向に賭けてみた 「と、とりあえず泡を流そう…」 「わぷっっ!」 がむしゃらにひっつく相手に有無を言わせずシャワー攻撃 だが相手は行為(ただ引っ付いてるだけだが)に必死でまったく気にもとめない やがて泡から現れた豊かな金髪にサガは心が跳ねて仕方なかった 顔を見せない青年の体は、間違いなくサガの好みのひとつ 興奮がふつふつと高まりそうになった しかも青年が身じろぐ動きまでもが刺激になってしまう! 何なんだコレは!とサガは自身に腹立ちながら眼鏡に手をかけた。 そう、これでチェックメイト!! 「それでは見えぬだろう、眼鏡を取ってあげよう!」 「あっそれがないと…」 …の筈だった。 ぶ厚いビン底眼鏡の下からは、綺麗な海の宝石のようなマリンブルーが現れて。 くっきりした眉、整った顔立ち、容姿が端正なのに、…おマヌケな頭 青年の素顔は美しかった。ノ○ピーと同じぐらい素敵だった はっきり言ってサガの好みだ。すごく好みだ。 (不味い…かなり不味いことになった!!助けてくれ…デスマスクッ) 彼は良くできた片腕に助けの悲鳴を上げながらも青年に魅入る 頬は湯あたりの為か赤く染まって、沢山の金の睫毛から視点の定まらない虚ろな瞳が自分を見上げる 青年はまだ大人に成りきらないまろみの残る頬を寄せて、たまたまなのだろう、サガの鎖骨に唇を寄せた しがみつかれる感触に意識が持って行かれる。皮膚に当たる、高い鼻の感触もサガを十分に高ぶらせた 「あの、眼鏡取ると、まったく見えないんです」 視線をさ迷わせる青年は美しい それは美意識の高いサガがマンモスばっちり好ましいと思うくらいに つまりめちゃくちゃストライクゾーン。頬が一気に上気し真っ赤になった 心臓はエロスの矢に貫かれたようにさっきから煩く高鳴りっぱなしだ そしてサガの意識は彼に釘付けになり 手元から何かが滑り落ちて ずるりっ 「…あ!!!」 「?」 厚い眼鏡はサガの手から滑り降りて、カシャンと音を立てて粉々に散らばってしまった。 「す、すまない!」 「?いえ、…、ッッッ」 慌てるサガに、さらにそれに慌てたらしい青年が身じろいだ瞬間 青年が微かに顔を歪めた サガが足元を見れば彼の足の裏から早くも鮮血がにじみ出していて、どうやら破片を踏んでしまったらしいのだ 「すまない!切ってしまったな?動くな、目が悪いのだろう」 サガは反応していた気持ちを収めて、青年を何とか抱きかかえて風呂場を後にした *** 「これでおあいこという奴だ、君は気にせず帰り…あ、家がないというのは本当なのかな?」 「はい、ですけどそれは大丈夫。あまり気にしない質ですから」 「質って……あ、それは置物だ。私はこっち…というか、私は君の名前を聞いてもいなかったな、遅れたね 私の名はサガ」 「ああ、はい。ミロです」 「私はこっちだよ、ミロ」 いつまでもタヌキの置物に話しかけるミロに、ガウンを纏ったサガが顎を固定する それに同じくガウンを纏ったミロが、子供のように微笑んだ。 (不味い…やはり好みだ。しかも凄く …いや、イカン!手を出せば犯罪者。私が犯罪者。) サガはミロのその無垢な笑顔に見惚れ 我に返り内心を戒めつつ 心の中でいつも知恵を貸す頼りになる片腕(デスマスク)に助けてくれとまた叫んでいた だけれどその頼りがいのある男はいない。なのでサガは必死で考えを巡らせる このサガ、頭は良いし、実力も度胸も容姿も申し分ない。正に神に愛されたような男だった だからなのか、酷く打たれ弱い一面がある。 つまり順風な状態ならば向かう所敵無し。喩えるならマリオがスター取った状態。つまり無敵モード入ったぜ!という感じだ でも、想定外の事になると…これがてんでダメ。狼狽え、突飛な行動を起こしたりもする。 そしてそれに後々後悔し悩みまくる そんな時サガに出来るのは取り繕う事ばかりだ で、その尻ぬぐいを件の頼りがいのある男にしてもらうといった形に収まるという所 だけれど今回のサガは頑張った。理性を総動員させてまともな答えをはじき出す このうっかり舞い込んできた“鴨ネギ(=ミロ)”に手を出せば 間違いなく極悪。自分は極悪なのだぞ!とサガは考えたのだ 考えても見ろ、無銭飲食の対価に体を要求し、何故かそれが受け入れられそうになっている。 相手は若い男、しかも滅多にいないすこぶる好み。ああ、違う…もし彼が本当に無銭飲食するつもりが無かったら?その可能性は大きそうだ しかも怪我人、ミロの足にはそう、包帯が。 取り敢えずガラスが残って無いかを念入りに調べ、サガは包帯でグルグルに巻いておいた 病院の類を薦めたが彼に拒否られたので、取り敢えずの処置なのだが血の出方がハンパ無かった 今歩くなど、いや、当分歩くなど無理だと思う。 医者に診せ、縫ってもらった方が良いかもしれない とサガは思う で、そんな彼に無体は出来ぬと結論付けた。きっとここにデスマスクさんがいたならサガを褒めまくったに違いない だが、そんなサガの葛藤を知らずにミロは真っ白な天使のような無邪気な微笑みを見せたりする これに…サガはクラクラした。 「スミマセン、目が悪くって」 「そうだな…そしてそんな状態の君を帰す訳にもいかない。今日は一晩泊まって行くと良い」 ミロが俯いたので、サガは慌てて訂正をした これを言う前 サガが僅かに“惜しいな”と思ったことは言うまでもない 「もちろん何もしない 約束しよう。ゆっくり休んで行きなさい」 「……………………」 「(信用しないか)…私は客間で寝るよ、安心しなさい。出来れば明日医者に診せたまえ」 これで一件落着、とサガはほっと胸を撫で下ろしたのも束の間 ミロと名乗った青年はみるみるうちに表情を曇らせ、泣きそうな顔になってしまった 「ごめんなさい…ごめん…俺は、また人に迷惑を 俺、やっぱり帰ります」 「は?」 「壊した物と、食事代は、何とか返せるように頑張ります。」 「おい…」 焦るサガを余所に青年はガウンを脱ぎ捨て、本を片手にひょこひょこ歩きながら衣服を探して回った 何枚か見付けるとそれをかき抱いてひょこひょこと歩き出す 彼はきっと出口に行こうとしているようだが、そこはさっきのバスルームに繋がる扉だ よっぽど目が悪いらしい。もちろんこんな状態の人間を外に出せるほど、サガは人でなしでは無かった 「待ちなさい。…あのね、どのようにして返す?君は怪我をし、目も悪く、家もない。稼ぐ当てでも?」 「無い。でも、仕事を…探してみる」 「………無理だ。この時勢に今の君が即金を手に入れるのは不可能に近いよ」 「…………だけれど」 「断言しよう、無理だ。そんな君から私は求めぬ、怪我までさせたしね。」 「この世に絶対は…痛っ!」 表情を頑なにしたミロは壁にぶつかって転倒した。どうやら顔面をビタッと打ったらしい きっとド近眼なのだろう。それはそうだ、あんなぶ厚い眼鏡をかけていたくらいだし相当目が悪い 見れば包帯から血までにじみ出している。あんなに深く切っていたのだ 当然だろう 視力もそんなもので、足に怪我を負っていて、外も吹雪き出していて、帰る家もなくて。 なのに彼は何所へ行こうと?まさか今頃になってこの状況に怖じ気付いたのだろうか? 「今頃になって恐くなったか?だから約束する、襲いはしないからゆっくり休んで行きなさい」 「…………それは施しだ」 「?私は君の眼鏡を壊し、傷まで負わせた。これでチャラだろう?気にせず休んでいけばいい」 「そんな事は出来ない。それでは俺は貴方に損をさせ、世話になってしまう。それでフィフティとは言えない」 何故それではいけない?幾分かの酔いと疲れが伴ったサガはめんどくさくなって彼を抱き上げた 嫌がったが無理矢理抱き上げてベットに戻す。触れた箇所にミロが狼狽え緊張したのが分かった 暴れるので押さえつけながらベッドに縫い止めると彼は思い詰めた表情をし、サガに吐き出すように告げる 「俺は、自分のした事に責任を持ちたい!自分で、自分が、しっかりと、ちゃんと!」 「別にもう良いと言っている」 「でもっそれでは俺の気が済まない!貴方は先程文無しの俺に償う方法を言ったじゃないか」 ならばそれをさせて欲しい 真摯な表情に、言葉に、サガは一気に硬直した。何て事だろう、と悪い冗談のような展開を嘆いた もう、今更あれは冗談だった等と言えそうな雰囲気は微塵もなくなっているではないか! 「あれはっ…その、だな…………」 「確かに、俺は、そんな事をしたこと無い。出来るかも分からない、けどっ」 「ミロ……君、その……」 「ちゃんと責任を取りたいと思うのは変な事なのだろうか?」 子供扱いは、もう沢山なのだ。ぽつりと呟いたミロの言葉の真意は分からなかったけれど。 サガは自分達がしでかした意味の重さを今とても良く知った。 言葉は戻らない 彼の覚悟も無碍には出来ない できそうも無い 今更あれは嘘だったと言えば、彼は傷つき 別の償いを見付けようと躍起になりここを直ぐにでも出て行きかねない それでは後味が悪すぎだ。花瓶代は良いといっても、この調子では食事代は何としてでも払おうと努力してくるだろう だが、今彼ができる仕事などなるのだろうか? ……あったとしてもきっとそれはまともな仕事では無い可能性が8割、いや、9割近いものではあるまいか (これはもう、しょうがない 私の責だ) 無垢な青年に無体を強いるのは気が引けるけれども。 もし彼が良いというなら、しばらくペットを飼っても良いかも知れない 怪我をした、野良。ちょっと頭が弱くて、もふもふの毛並み …これは、大型犬だろうか? 怪我が直るまで面倒を見て、彼が了承すればの話だが仕事を与え、賃金を与え また、外に飛び出せるように力を貸すのも仕方ないのでは。 (これも縁という奴かな) そう、ならば奪ったように見せて与えるのも悪くは無いのかも知れない もちろん相応の対価は頂くけれども。それでも余りある恩恵が彼に降るだろう (神よ、お許し下さい) この珍しい無垢な少年にささやかな祝福を祈り サガは彼に現実の厳しさと、そしてその痛みを強いようと心に決めた。 「始めに言っておこう、こんな責任の取り方など世間にも何所にも無いよ。安易に人を信じてはいけない」 「……………え」 「その頭は飾りかな?こんな事をくり返してご覧?良くて貧民窟の住人、もしくは廃人だ」 サガはミロと身を重ねた。押さえていた手を緩やかに重ね、色のある動きで唇を這わす その高い鼻で、ミロと名乗る青年の肌をそっと刺激していく 色の薄い皮膚に吸い付いて痕を残した 「もっと賢くならなければ、貪られ奪われるだけだ 君はその事を学ばなければいけない」 強ばる彼を無視して、首筋にやんわりと歯をたてる。ぱさりと持っていた本がベットに落ちた サガは自分が高ぶりだしたのを知る。彼からほわりと立ち上るどこか甘い匂いにくらりと酩酊をした 容姿は文句無しの好みだ 寝るだけなら実に好ましい。いや、はたしてそれだけなのだろうか? それだけでは自分はこんな酔狂はしない。こんな面倒は抱え込まない。自分は博愛主義者なんかでは無いのだ ならば何故?…そう、それは彼の若さ故(?)の真っ直ぐさに自分は惹かれ、眩しく彼を見てしまったから。 (だけれどそれは、どこまで貫けるものなのだろうな。) サガは彼の眩しさに憧憬を抱くと共に、黒いもう一人の自分はそれを試し、そして堕とし乏しめたいと願う なんて自分はひねくれているのか、とサガは眉を顰めて彼との行為に集中を始めた ほら、自分はもうその気なのだと青年に告げるように高ぶった突起をシルクのガウン越しに伝える 弾力のある腿に押しつけて楽しんでさえいる。ミロの頬がさっと朱に染まった そんな素振りにもサガは興が乗ってしまい、心も肉体も期待が湧き出している だけれどサガの一欠片の良心が、最後通告を青年に告げていた 「ミロ…男と寝るなんて正気の沙汰ではない。きっと痛くて君は泣き叫ぶだろう …やめるかい?」 青年が恐怖で震えたのを感じながら、サガはワザと胸の突起を強く噛んだ。 怯えでNOと言ってくれとサガの何処かが…きっと良心だろう。その良心が願っていたのだけれど。 彼の震えは一層強くなったが、サガを見る青年の瞳はどこまでも真っ直ぐで 「でも、今俺に出来ることはこれだけだ」 (何故そう思う…)サガは疑問に思いながらもミロの体に手を這わせた もう、無理だった。もう止まらない。最後通告はしたのだ、もう遠慮はしない 先程噛んで、赤く尖っていた胸の飾りを 舌先で卑猥に何度も嬲った ワザと音を立てるように、舌先を尖らして彼によく見えるように何度も何度も。 サガの思惑通り、ミロのぼやけた視線はサガに集まってミロの頬を染めさせた だけれど見えているのかいないのか。 何とな〜く見えているらしい瞳孔が半開きの瞳は見開いてサガを見つめるようではあった 海色でとても美しく、サガの心を楽しませたが 彼はやはりそういう趣味は無かったらしく、良い反応もせずに震えるばかりだった。 (これでは強姦だ) サガは少々苦い思いで唇を這わせる。心とは裏腹に肉体は刺激を貪ろうと貪欲に高まっていたけれど。 なんでこんな事になったのやら、 と思いつつも 彼の肌を貪るサガだった *** 「……ッ…あの、痛いです……………」 「だろうね…」 サガは血色を良くしながら彼にそう答えた。ため息が止まらない、もちろん快感の。 ミロの処女地ははっきり言ってキツイ。自分の息子もちょっと痛いぐらいキツイ だけれどそのキツイ締め付けが、新雪を踏み荒らしている感覚をより強く感じさせ 背徳的な快感は汲めども汲めども湧き上がってしまう それ以前の行為でも十分高ぶっていたのを、さすがに悪い気がして接合は慎重に進めたのも焦れったさに拍車をかけてしまったのかも知れない 今にも腰が揺らめいてしまいそうになるのを、サガはぐっと堪えた 「さっきも言ったが、息を、ゆっくりと吐いて」 「はふ……は、くと……痛、っいです…………」 そう、サガは根気よく収めた。あのデスマスクが言っていたのは全て嘘では無いのである サガのは人より大きい。かなり大きい部類である。サガもそれを自覚していたので、交愛の拡張は念入りに 何度も何度も指でほぐして、ソレ用のゼリーを塗りまくって。 はっきり言ってサガが前戯にこんなに時間をかけたのは初めてなぐらいだ そしてちょっとづ〜つ 本当にちょっとず〜つ 回すようにゆっくりと埋め込んでやっと根本まで収めた所なのだ ミロはその間、呻きはするものの 悲鳴をかみ殺し、涙目になりながらも良く耐えていた だが流石にサガの大きなモノを根本まで埋め込まれて、遂に泣きを入れてきた。 だけれど男なら分かると思うが、ここで止められる程 本能は器用に出来ていない。 なのでサガは、彼の痛みを和らげようと男の尻尾、第三の足、まぁ、つまりミロの棒を握ってちょっと擦った 「ここは、気持ちよくならない?」 「そこは、触ると、馬鹿に、なる」 ?(馬鹿になってしまうぐらい、気持ち良いと言うことかな?) しかし幾ら前に手を這わせても無反応。亀はくたりと項垂れて良い反応も無しだ それもそうか、痛みもある。男同士。…起つ方が珍しい そうこうしてるウチに、サガの脳みそはじりじりと快感に溺れ始める 肉体から汗がこぼれ落ち、肌が薄桃に染まり出す。 いつの間にか体がほんの少しだが揺れ出している。青年がそれに呻く 「ぅ…………痛い、です……………」 青年が目を見開いて、ぽろりと雫を零す。 ぽろり ぽろり ぽろっ ぽろっ 眉を寄せて、ボンヤリした瞳が見開いたまま涙を流す ぽろぽろっ 海色の瞳から、寄せた眉根が、張り付いた金髪が、脈打つ内臓が、根本を締め付ける括約筋が。 サガの良心の堤防を決壊させた。気が付けば大きく腰を引き… 「あぐうっ!アッ ああああッッ」 「ッ…」 打ち付けていた。青年が身を捩らせる 苦しそうに逃げを打つ体をサガは無理矢理押さえ込んだ 「すまない、逃げるな!抱けと言ったのはお前だ…ッ、キツくて、良い」 言葉は支離滅裂。体格の良かった青年を押さえつけ、肉棒を咥え込ませてサガは強烈なピストンをくり返した 暴れて泣きじゃくるミロが抵抗をする。足をばたつかせて、サガの肩を力の限り引っ掻いた 逃げようと腰をずり上げる ミロも体格が良かったので力はあった 筋肉質な体躯は震えながらも激しい抵抗を だが、いかんせん激痛を生み出す場所が押さえ込まれているのだ とうてい逃げられなど出来ない そして逃げようとした腰を乱暴に引き戻され、内臓を貫かれて、無理矢理掻き回され、そして怯んだところを蹂躙される。 このまぐわいはさながら肉食獣同士の殺し合いのような状態に。実に男同士のSEXに相応しい様相 モチロン勝ったのはサガ。押さえつけ、噛みつき、引き倒して蹂躙し、本能のままに揺さ振って貪る ミロは弱々しく悲鳴を上げて、ボロボロ泣きながらサガの律動のままに足を揺らした ぐちゅぐちゅと接合部から卑猥な音が耳を楽しませた 腰が高く持ち上げられ 汗の纏った肌が、打ち付ける度にパンパンと高い音が上がった。 「ぅ……ふぅっ……ぅぅ……うう!…うううう〜〜〜っっ」 「抵抗、するからだ ……あ、ああ。 …すごく良い。…とても、悦いね………ッ……注ぐよ?」 やがてサガは一回目の極みを。自身の早まるピストンの音に高まりながら思いっきり彼の中に吐き出した そして吐き出しに合わせて腰を押しつけ終わり、汗に濡れた体でぐったりとミロの上に横たわった 心音が心地よい。サガは荒い息が多少整った後で俄にしでかした事をボンヤリと悟る だが気だるい精神は罪悪感よりも、爽快感と満足感で染められている。 久し振りの手加減なしで味わったSEXに、充足感で満たされ実に満ち足りた気分だった だから上機嫌で労るように交愛の相手にキスをする。接合したまま 啄むように、宥めるように 泣き顔が情をそそって、心地よい。事後のこういう行為がサガは好きだった 「すまない、思いの外君が良くて。ね、私を許してくれるかい?」 枕で告げる甘事は、いつもの数多の女性に告げたような言の葉。 サガが少々激しくしても、事後 自身も満足に浸った女共は膨れたフリをしつつサガを許す だからその時ボロボロに泣いていたミロが頷いたのにもサガは相違など感じはしなかった 視線を僅かにサガに合わせ力なく頷くミロにサガは甘く絡まりながらキスをする だが、ミロの強ばりは解けない。それに次第にサガは自覚する。彼に快感は無かったのだと 「俺こそ…す、みません……肩、怪我 して ないで、すか?」 「!………………あ、ああ…………平気だ、………………」 引っ掻き傷などきっと他愛ないものだろうし、己を気遣い心配げに目をやろうとする彼にサガは面食らった しかもまだ繋がっている状態。苦しいだろうに引きつった笑顔まで見せるものだから、サガはその時になってやっと罪悪感を重く感じる 「…………こんなもの、平気だ………」 「…良、かった」 サガは思う すまない、なんて数多の女に告げたような常套句で許しを請うなんてはたして良いのだろうか? いや、同じなんかではない。そんな生やさしい行為では無かった。今の行為は自分が一方的に彼を好き勝手したではないか? 血こそ出てないものの、彼に暫く歩けないようなダメージを与えたに違いない 付き合っていた女達ならば その内良くなって善がり声をあげる行為だが圧倒的に違うことがあるのでは? そう、彼にした事は一緒だ、だけれど感じ方が一緒では無いのだ。それと一緒に扱って良い筈が無いのでは? ほら、彼を見て見ろ。震えているではないか。顔は青ざめ、目は虚ろだ(それは眼鏡外してるからかも知れないが) これは、レイプだ。レイプそのものだ 私は彼をレイプしたのだ 私はレイプ野郎、強姦魔そのものだ! とサガはミロと繋がったまま、ざあ〜と血の気を一気に引かせた。 そしてどうして良いか分からず、やはりミロと繋がったまま慌てて狼狽えるサガであった 「そ、そうだ!君も良くしてあげよう」 狼狽えたサガの脳みそは奇妙な答えをはじき出す。 そうだ、ならば彼も気持ちよくすれば良いのでは?と。合意にしてしまえば良いとはじき出した だからサガは苦しそうなミロから抜くことも忘れてミロの肉棒を弄った。そりゃあ熱心に 「気持ちいいかな?ね、ここに集中して…この辺は好きか?ど、どうかなミロ」 「……………………あの…………」 ミロは渋い顔だった。だがさすがに反応しだしたミロの雄 サガはそれに光明を見いだしたようにミロのそれを熱心に愛撫する 「あ、ア… あの、ぅ…」 「良くなってきたね…あ、中、締まってるよミロ…ちょっと痛いぐらいだ」 「あの…ッ……ダメ……だめ、だぁ…」 「何が?ああ…、こんなにして、何が…ダメ?」 本当に困ったような、戸惑ったミロの表情。だけれど快感は頬に赤味を差して扇情的で サガはそんなミロの態度に、中の熱さに、次第にその気にさせられて二度目の熱を硬くさせた 問いかけは囁くように。贖罪からの行為はいつの間にか自身の享楽へと変貌を遂げてしまったようだ 「アゥ…ウッ!あ、そこ…や、馬鹿になってしまうッ…いけない!やめ、やめてくださいっ」 「ン?面白い事を言うね、…こんなに張り詰めて、いやらしく蜜まで垂らしてる。」 いつの間にか真意を忘れたサガは、ささやかな抵抗をする青年を嬲るように手淫した それに面白いように反応するミロ サガは前を嬲りながらミロの波打つ熱を味わう いやらしく肉棒を撫で回しつつ、自慢の手馴れた愛撫でミロの官能を煽り始めた ミロが快感に泣きそうになりながら、内股になりつつ尚もサガを拒もうと足掻く それにサガの狩猟本能が一層刺激されたとも知らずに 「…は、さっきとは大違いだよ、ミロ!…君も気持ちよくなってごらん?こうなったら一緒に楽しもう」 「あああ…やめ、だ、だ、ダメ!」 「何故?ほら、ココみたいに素直になってごらん?…いやらしいね、最高の表情だ。」 サガはミロと繋がったまま身を軽く起こして後ろ向きにのし掛かると、ベッドヘッドの上に掛けられていた鏡にミロの顎を向けた ド近眼の彼にも 良く、そのイヤラシイ表情が見えるように彼に鏡に手を付けさせる 後ろから彼を貫き味わい ミロのそそり立った淫茎は絶えず手の平で焦らしながら追い上げて。 ミロが快感に困りながら泣く表情に、サガの雄が至福なる快感に酔った。腰が揺れる、脳が嗜虐的な気分に酔う 本当に恥ずかしくて、困って、でもどうしようもなく感じてます というような表情は実に美味だった 快感をさらに煽るべく、桜色の乳首を指の腹で優しくいじる ミロが溺れるように唇をわななかせて許しを請う 「ほら、気持ちよいだろう…? 溺れておしまい、私に全てゆだねるといい…」 「嫌だ…いや、や、やぁ…」 耳を舌先でくすぐりながら、官能を囁く だけれどミロは頑なだった。首を必死に振る さすがのサガもこれに少々訝しんだ 何をそんなに嫌がるのだろう。そんなに男が嫌なのか?こんなに中も外も歓び綻んでいるというのに… 焦らしていたのに、焦れたのは自分。 早く一緒に 墜ちたい 睦みたい 交わりたい 激しく 官能的に 獣のように 失墜と上昇をくり返す官能の嵐を 交愛を 「何が嫌?ミロ… ほら、私をこんなにして。こんなに欲しがって…何が君を留める?私に教えてくれまいか」 俄に激しく扱く 不意に動きを緩やかにし…傘の裏を綺麗な人差し指で思わせぶりになぞる 「教えて…なぜ気持ちよくなってはダメなのか、は… ほら、もう少しでお互い最高の高みを味わえそうだ」 その時、汗ばむミロの体が魅惑的にうねって(サガ視点だ)桜色の唇がベルベットの舌をちらつかせた(これもサガ視点だ) 「だって、だって!ソコを弄るとせっかく憶えた数式とか忘れて、しまうって…!」 ? べそをかきながらのミロの叫びに、サガは一瞬マヌケにも目を点にして固まった。 良く分からなくて、固まったまま問いかけるように繋がったミロに視線を送る 「は、母が!昔言ってたのだ。ペニスを弄ると馬鹿になるとッッ」 だから止めて欲しいとのミロの必死の哀願を聞きながら、サガは暫く凍結した。 つまりミロが言っているのはアレだ。 子供が遊び半分で自分の性器を弄るのを嗜めるのに使う 母親の常套手段 『そこを弄ると馬鹿になりますよ!』というやつだ 俄にそれを理解(本当に出来たかは別だが)したサガは、 自分の興奮しきった雄に絡む手を必死に離そうとするミロの行動をボンヤリと悟ると… 「君というコは……っっ!」 無理矢理後ろから鏡に押さえつけて、 「あ、ヤ―――――――――――ッ!!!」 遮る手を無視して、 「もう、手加減などするものか…」 「!……ッ………ッッ………・・…〜〜〜ゥ…ぁ、あ、アッ…!」 ミロを激しく扱いて追い上げ、 「ア、嫌だぁ〜〜〜止めてッやめてぇ〜〜〜」 「ダメ、だ、ッ…良い経験だから、…感じてみなさい、ミロ…ッ」 獣のような交愛を深く味わい味合わせる運動を開始した。 煽って、煽られて。終いには……貪っていた **** 夜は明けて。 チラチラと雪が舞うクリスマス やはり気がかりで早朝に様子を見に来たアフロディーテは店の前で全体的に黒いシルエットを目にする 良く見ればそれは同僚のシュラだった。黒いコートにうっすらと白い粉雪が付いている アフロ「ン?シュラ、どうして?」 シュラ「………お前と、一緒だろう」 デスマスク「ンン!?何だお前らこんな朝っぱらから!」 そしてお洒落ーな伊達男デスマスクも登場。それに3人は一様に小さく笑った そう、結局あの後が無事に過ぎ去ったのか3人とも心配になったのだ。 シュラ「…ま、大丈夫だとは思ったのだがな……」 デスマスク「だな、だけど、まぁ。きっと、大丈夫だろ」 アフロディーテ「だね。だけど、そうだね。心配して損は無いよね」 3人はわざわざココに早く来た理由を濁し陽気に振る舞って挨拶を交わした 店の扉を開けて粉雪を払う しんと静まった店の中はそれはそれで落ち着いた雰囲気で好ましい だが、その静寂を破るかのようにアフロディーテが店に飾ってあった大きなツリーに引っかかっている物を目にして大声を上げた アフロディーテ「ああ!!オーマイガッ何て事だ!!」 シュラ「…どうした?アフロディーテ」 アフロディーテ「ほら、ココ!!これじゃない?あの子のお財布っっ」 デスマスク「どれ、〜そうだな。こりゃアイツだ ほれ、学生証。アイツ学生だったのか…しかも頭良いのか。アレで」 シュラ「…専門系な感じだったしな。それにしても不用心な、随分と入っている」 アフロディーテ「住むトコ無いって言ってたから全財産かも。どうしよう…デス」 デスマスク「それっぽいな、保険証どころかパスポートまで入ってやがる」 シュラ「…どうする?あの後逃げているなら連絡など取れやしないぞ」 デスマスク「う〜ん、俺達で探すっきゃねぇかもな〜 責任が無いとは言えないからな。」 シュラ「家無しだからな…。とにかくその辺で雪を凌いでるかもしれないからしらみつぶしで探そうか…」 アフロディーテ「うう、可哀想に。この雪で凍えて死んでなきゃいいけど。し、死んでたらどうしよう、デスッ!」 デスマスク「おいおい、とにかく先にサガに報告だろ!それから探す。で、見つかんなきゃ警察が無難だな」 シュラ「…ああ。そうしよう、とにかく出来るだけ早く見付けてやらねば」 アフロディーテ「サガーッッサガ起きてーーーッ!!大変なの、超大変なのっ!!」 皆がドカドカと事務所を抜け階段を上がる サガの私室に入る扉をノックするも返事が無いのでデスマスクが預かっていた鍵で扉を開けた デスマスク「サガ、はいるからな!緊急事態だわ」 だが、この時男前で霊感の強いデスマスクさんは嫌〜な予感を感じた。 何やら奥から啜り泣きらしきものが微かに聞こえてくるのだ。 いつか見たような光景にデジャブか?と思った。が、どうやらどちらも夢でないようだ それは後ろの二人も何かを感じたようで動きが一瞬ピタッと止まった。 だが、皆でそれを振り払うように歩みを進める。サガの啜り泣きの聞こえる寝室に そう、この交通の麻痺したのどかな祝日早朝に、雁首揃えて集まってしまったのは嫌な予感がしたから。 皆、それを敢えて口にはしなかったが。そう、口にしてしまうと不安が増してしまうような気もしたし。 杞憂であって欲しかった。そんな願いが皆にはあった『まさか』という思いも相俟って。 だけれどみんなの杞憂であって欲しいという願いは空しくも… サガ好みの豪奢でシックな内装のリビングを抜けて 寝室をノックしてから開ける。サガが泣き濡れた顔で皆を見上げて助けを求めた サガ「……………お、お前達!助かった、この子が目を覚まさないんだ」 願いは空しくも…破られた。 寝室の奥のベッドには、昨日見た気の毒な青年らしきものが。 金の長い巻き毛を散らして、俯せで横たわる背には無数の情交の鬱血が。 腰から下はシーツがそっと掛けられている。片足にはかなりの血が固まった包帯が崩れたまま巻かれていた 一体何がどうなってこうなったかは知らないが、とにかく3人は頭を抱えたくなった というか、実際頭を抱えた。3人が目にした光景にそれぞれのポーズで頭を抱えた サガ「ううっ……私はどうしたら!なぜ、この子はこんなにぐったりして…ま、まさか死んではっっ」 サガがパニくり出してそんな事を言い出したので、アフロディーテまでもパニくり出した アフロディーテ「ししししっっ死んでしまったのか彼は!!」 それに頼りになるデスマスクがそっと青年の息を確かめる。それにシュラも続いた デスマスク「落ち着け、とりあえず息はあるから。」 シュラ「だ、大丈夫か…き、きみ?起きれるか…?」 デスマスク「あ!馬鹿無闇に動かすとあぶねぇっっ」 不用意にシュラが青年の身を起こそうとしたとき、呻いた青年の下肢にどろりと何かが伝い落ちた それは大量の…つまりサガが吐き出した…白くてドロドロの。それがどろっと腿を伝ってシーツに水たまりを作る シュラ絶句。アフロディーテ赤面。デスマスクは呆れてサガを見たのは言うまでもない サガ「うう…ううう!その子が目を覚まさないのはどうしてなのだ、デスマスク」 そりゃそうでしょーよ と3人はサガに内心で突っ込みを入れた。 だがデスマスクさんはサガに子供に言い聞かせるように優しく優しく教えてあげた デスマスク「ウン。あのなサガ…。皆が皆、お前みたいに絶倫じゃぁ無ぇから。それに突っ込まれる方が大変なんだろ、きっと。」 アフロディーテ「サガ、おっきいしね…」 シュラ「うう、…済まない。君、ゆっくり身を休めてくれ…」 シュラがそっと青年を戻す。そして3人は泣きたくなった 泣きまくるサガを見ながら頭を抱えてどうしたものかと思い悩んだ。 まぁ、どうにもなりはしないのだけれど。 さて、雪舞うホワイトクリスマス これはサンタのクリスマスプレゼント? (続く?) |
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〜同盟内での反応〜 薔薇:zzz…は!眠ってしまった。う〜ん長いよ 山羊:そうだな、サガは良い感じで書けているんじゃないか?でもミロが違う感じで驚いたな…有りか? 蟹:いいんじゃねぇか〜?パラレルだしよ。しかも実は頭が良いって設定だ。意外性萌え、っていうのが最近の定石らしいからな 同盟+α双子(白):酷い!お前は私をこのような目でっっ!!うううっっうううう〜〜〜っっ(大泣) 同盟+γ女神(腐):良いです!蟹っっ☆鬼畜要素は貴方には期待してませんでしたが、代わりに良い物をつくりましたね! 蟹:アンタに言われると素直に喜べないのは何でなんだろうな… |
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読者からの感想 もときょうこうさま:良い!ねちっこさがたまらぬ。強いて言えばもっと絡みを詳しく細かく書いてほしかったのう もとようださま:↑それはどうかと思うぞ?そうだのう、ミロが頑なだったのには意味があるのか?それにしても長いのう…ちと疲れた。 くろすのかみさま:そうですね…長いのも問題ですがミロですよ。これ…本当にミロですか?全然違いませんか? くろいほうのさ蛾さま:ふむ、我は出てこぬのか?我はこのような蠍も嫌いではない。我との絡みを期待しているぞ…出巣よ はねのはえてるろすさま:パラレル好きだぞ!てか俺も出せ!!サガが男とした経験はロスって設定はどうなんだ? はくちょうのししょうさま:私はパラレルはあまり…。だが、ミロの設定に私は登場するのだろうか?して欲しい。いや、するべきだ。…違うか? ほとけさま:↑よ、するべきかどうか それは神のみぞ知る。だがなって欲しくば私を拝め!感想?そうだな、死んでいる辺りに胸が踊った。 ぞうひょうのあにきさま:↑おいおい、それはどういう意味だ?俺の感想か? 笑ってしまった。あのミロが眼鏡&気弱風で。なよったミロなぁ しーどらさま:う〜ん、長すぎにまいった。せめて相手がカノンならもっと萌えたのにな。なぁ出てくるんだろ?この後ミロの相手でよ〜 うしさま:好みじゃなかったな。もっと純で天使で子蠍&子サガで良いのでは?パラレルも好きじゃない にやみろさま:お!カノン何よんでるんだ!?…げ!長すぎる。あ〜無理。俺には読めんっ!それにしても何で本をベッドの下に置いている? さて、次回は在るのか!?分からんが強制終了!次回こうご期待っ(←おいおい) |
パラレルですんません!ねちっこくてすんません!やっちまいました☆よしな*ふみ先生大好きですv
何か出巣作品は長くなります。わざとでは無いのが不思議 なぜなのか〜〜??
出巣作品はデスマスクが良く書かれているのが特徴か。
普段私が省くデス・アフロ等をちゃんとフルネームで入れてみました。意味無いって?えへへ。
と、とにかく…楽しんで頂けたなら本望です。でもこんなんミロじゃねぇ〜!!と言う方
…ごもっともです。すんません、キャラとか…色々レイプ野郎でスンマセン。