天蠍宮お掃除編 その1 愚弟はカミュがミロのゴミ溜めの宮を週一で掃除している事実を知り、邪魔をすべく(あと、自分もポイント稼ぎする為に)天蠍宮を訪れた。 もう宮の外にはまとめられたゴミがわんさか積もっていて、カノンはこのタイミングで来た事を内心ほくそ笑んだ 何故ならば元々掃除を手伝う気などちっとも無くて、腹の中では掃除に勤しむカミュ横目にミロといちゃつこうと考えていたから。 だから大体片付けられたであろう天蠍宮にウキウキとした気持ちで踏み込んだのだが… 中から聞こえてきた妖しいカミュとミロの声に、愚弟カノンは凍り付いた。 「あ、カミュ…もっとこすって!」 「…こうか?ミロ…」 「あ、うん…そう…ッ…もっと、その辺も…」 (ななななななにぃ――――――――――――ッッッ!!??お、お前ら何をしいているッ!!) 「………ここもか?これも?ミロ……」 「ウン…そこも、擦って?全部…カミュ…もっと、いっぱいしてくれ!」 (ち、ちちち畜生!…なんて積極的なんだミロッ(←鼻血)…じゃない!邪魔してやる畜生ッ…!!それか俺も混ざるッ!!)←オイ? ツカツカツカ…… 「う…ミロ!」 「アッ……カミュゥ、凄いッ…でたぁ…」 バン……! 「12宮での不純同性間交遊禁止!黙っていて欲しくば俺を混ぜ…ッ??」 だが、カノンが目にしたのは乱れるミロでも、ミロを弄くり回しているカミュでも無かった。 二人は服を着ていて、テーブルに向かい合って座っている。 テーブルにはコインと削りカス、そして大量にあった名刺ぐらいのサイズのカード 一体コレは何なんだ?? 「お、カノンも混ざってくれるのか?」 「私はもう手が疲れた…お前が擦るといいカノン…」 良く見ればそれは銀色の所を削るタイプのクジで。 丁度カミュが擦っていたカードには5ユーロ の当たりが出ていた 「掃除していたら買ったまま忘れてたクジがいっぱい出てきてさ」 「フ、(成る程な…さっきのはコレだったか…ならば!)良し、俺も擦ってやろう」 「おう…!」 「さ、ミロ 俺に『擦って…』と言え」 「…は?」 「言わねばやらん…俺に、『擦って!』と哀願しろ!」 「う、うう?何なんだ一体…?まぁ…いいか。…カノン、もっと擦ってくれ!」 (ピク…)中断していた掃除を始めていた和菓子は不穏な気配に気が付いた 「はぁはぁ…(カリカリカリ…←カードを削る音)こうか?ミロ…」 「うん… そう… 沢山擦ってくれ…カノン」(←自分のに集中しているのでおざなりなのだが、それがそれっぽく聞こえる) (ピクピク……!)和菓子の眉間に皺が寄った!そしてジメジメした冷たいコスモが吹きだした 「ミロはこうされるのが好きなんだな、ほら、沢山擦ってやるぞミロ…はぁはぁ…」カリカリカリ(←カードを削る音) 「あ、カノンッ…また出そう、俺の、コレ…」(←数字が2つ揃ったミロ) 「う…俺も出そうだ!ミロ…一緒に…はぁはぁ…」(←カノンのも数字が揃った。だが何が一緒になんだ?) 「あ…出た…!」(←また5ユーロ当たった) 「クッ…俺は、まだだ…!はぁはぁ…」カリカリカリ…(←外れたカノン 次のカードに取りかかる) 「ミロ…!そこはカノンに任せこちらを手伝うがいい!」 腐ったやり取りに怒りを静かに爆発させたカミュはミロの手を引っぱってキッチンに誘った そして汚れきったタイルに洗剤を含ませたスポンジを当てるとミロをじぃーと見て言い放つ 「ミロ…私に『擦れ』と言うのだ。言わねばやらん…」 「???カミュまで何を言い出すんだ!?」 「言うのだ…ミロ…、毎週掃除をしてやっている私にせめてそれぐらいは…」 「わわ、分かったよ!何なんだ一体?? ……ん…カミュ、擦れ…」(←ぶっきらぼうに) 「クッ…(投げやりな台詞にキたもよう)ミロ…こうか?…こうこすれば良いのか?」 「……ン、もっと、強く…」 「強くされるのが好きなのだな、ミロ… こうだろう?」(キュキュっとタイルをスポンジで擦るカミュ) 「ウ、ウン…カミュ…そう…」(←何故か盛り上がる友人に引き気味のミロ) 「…さ、出してもいいぞ…出したいのだろう?ミロ…」(←洗剤を渡すカミュ) 「え…カミュ…な、俺……??」(←手渡された洗剤を不思議そうに見るミロ) 「かけていいぞ…思い切りな……ほら、ミロッ!」(←ミロの手の中の洗剤を壁に向けて押し出すカミュ) 「あ、やめっ……カミュ!……ぁ、とんじゃった……」(壁に飛んだ洗剤を見て唖然とするミロ) ガタン…! その時カノンが飛んできてミロをかっさらった! 「ミロ、こちらも手伝え!さ、雑巾がけをして欲しくば『擦れ』と俺に言うのだぁ!!」 「ま、またか?あ、カノン鼻血が出て…」 「ミロ…こちらを手伝え……ほら、擦って欲しくば哀願してみせるのだッ!」 「か、カミュまで鼻血!わ、分かったから、分かったからちょっと待ってくれ!!」 天蠍宮はその日カノンとカミュによってピカピカに磨かれた。 手伝う気の無かった筈のぐうたらな愚弟は洗剤臭を纏いながら何故かご機嫌に帰ってきたとは後日サガの証言である。 カミュはボンヤリしながらその後数日、何故か微熱が続いてミロは大変心配した。(弟子曰く慣れぬ福音を聞き過ぎたとの事) そして天蠍宮は一週間もすると、また元の汚い空間に元通りになったという。 スクラッチというオチ (END) |